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古本屋日誌

2020-03-17 13:07:00

文壇の大御所杉山平一がやっていた「文学雑誌」57号(1980年)に磯田敏夫は「新派大悲劇」を書いてキャバレー衰亡の原因を探っている。

道頓堀には巨大キャバレー「メトロ」「富士」「美人座」をはじめとして「ユニバース」「ミス大阪」など様々なキャバレーがあるが、今日あの「メトロ」でさえダンスホールになってしまったのでと嘆く。

これは客が来なくなったことが第一の問題で、それは団塊の世代に子どもがポコポコ生まれて、教育費や何やら今まで考えられなかった規模で金をかけるようになって、その煽りで旦那の遊興費が大きく減ってしまったことによる。

おまけにキャバレーのシステムを悪用するホステスの問題もあるという。なんでも新人ホステスは2ヶ月の間は指名がつかなくても最低保証日給で7000円もらえるという。そのため2ヶ月経ったらさっさと辞めてまた別のキャバーレに勤めることを繰り返す輩がいる、それもかなり年配の女までやっている。

こづかいの減ったお父さん方はキャバレーの横にできた居酒屋に流れて、ここで集団見合いみたいなことを楽しんでいてもうキャバレーには流れては来ない。

磯田の小説は盛り上がらないキャバレーの日常を活写して、いくらでも発生する深刻な危機を流れるような文体で書く。

慰安旅行にせっかく来たのに店長の母親が亡くなってしまい宴会も盛り上がらない、裸踊りを披露してくれるホステスも雰囲気を察しておとなしい。磯田はその時火事で焼け死んだホステスの両親に詫びに行った時の針のむしろのさまを思い出す。いつまでもいつまでも面罵され続ける。