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古本屋日誌

2020-03-16 12:06:00

今回の肺炎騒動で、新潮文庫のカミュの「ペスト」がよく売れている。同じタイトルのデフォーの「ペスト」も魅力的な作品なんだがなぜか中公文庫は復刊しませんな。商売気がないのか、バカなのかどちらもなのかわからない。

癩病の「いのちの初夜」(角川文庫)、伝染病で引きこもる話である「デカメロン」、結核のサナトリウムでの閑話を描いた「魔の山」、蚊が蔓延して世間が真っ黒になる「蚊」、孤島に閉じ込められて異常をきたす子どもの話「蝿の王」、大地震でトンネルの中に修学旅行の生徒が閉じ込められて、これまたおかしくなる「ドラゴンヘッド」、ネズミが大量発生してしまい責任のなすりつけ合いに終始する「パニック」、なぜか突如海水面が上昇し兄と二人、バスタブでサメが泳ぎ回る東京を逃げ回る「バスタブに乗った兄弟」などが現在必読の本だろう。

岩波文庫には寺田寅彦のエッセイが収めてあるが、彼の嫁は齢19で、しかも妊娠中に結核に感染してしまう。寅彦は事実を伏せて「軽い風邪だから、養生しような」と言うのだが、嫁は症状から結核ではないかと疑い鬼気迫る表情で寅彦を問い詰める話がある。

かくいう私も結核に感染したことがあり、その間全くデタラメなヤブ医者の大群に悩まされて往生した覚えがある。バカなヤブ医者ほどタチが悪いものはない。