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古本屋日誌

2020-01-26 12:16:00

雑誌「あまカラ」はこの手の食雑誌の草分けで判型も横長でグラビア多数の形は今も「銀座百点」などに継承されている。

今東光といえば八尾の天台院の住職となり長らく居を構えて「河内風土記」やら「悪名」やらをものしこれらは勝新主演で映画化されて大人気となった。後に嘉門達夫の「河内のオッサンの唄」が人口に膾炙し下品だとか野鄙だとかの論争が起こった。

小説「悪名」は1960年に「週刊朝日」連載で、今東光はそのずっと前から八尾に移り住んでいて1957年の「あまカラ」7月号に「食談義」というエッセーを載せている。

今は東京などに帰る気はさらさらない、東京は関東大震災で下町を失い、大東亜戦で山の手の大部分を失って「まるで植民地でないか」という。

対して京都、奈良は焼けることなく残り、河内国などは昔のままで、心地よい上に瀬戸内海の魚のうまいことは東京のまずい料理などお話にもならない。西洋料理も堂ビル前の「ミツヒサ」のビフテキなど大阪一であり、それはすなわち日本一だということだと持ち上げている。

加えて東京は冬は鼻がひん曲がるようなからっ風に苦しめられるが河内国などは冬暖かいし「東京くんだりにどうして帰れますか」などという。

ところが、これほどの河内びいきの今東光の著作が後には全く逆に大阪バッシングの材料にされてしまうんだから不思議な話だよね〜〜

それはさておきこの「あまカラ」7月号には昭和始めの文人波多野承五郎のエッセー「関西料理は嫌いだ」も掲載してある。

関西では昆布だしで、これがよくない。

昆布をいつまでも煮てしまうから甘みが出てしまうし、どうしても薄味になるから最後に鰹橋を入れて味を整えているわけだが、関東では初めから鰹節でしっかりだしをとっていて、俺はこっちの方が好みだ。

また関西料理は野菜の煮物には特に薄口醤油を使って野菜に醤油の黒い色が移らないように調理しているので、出来上がった野菜は元の色味を失っていないが俺はそれも気にくわない。

などと関西料理の特徴をあげるとともに自分は好みではないと切り捨てる手法でなかなか面白い。

まああれですね、雑誌てこういうごった煮みたいなところが面白いね。