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古本屋日誌

2020-01-25 14:25:00

坪内祐三は大阪に関する本を2冊書いているが、宇野浩二の「大阪」を秀逸だと度々取り上げている。この本は例の太宰治の「津軽」や稲垣足穂の「明石」同様シリーズとして刊行されたものだ。

宇野はこの本で大阪の金持ちが料理屋で食べ残した料理を包んでもらって持ち帰る習慣は決してケチだとか金が惜しいとかそういう考えからくるものではないという。

全部余さず食べたいほど美味しかったことを料理人に伝えたいし、実際には残ったものは、家人や次に行く店へのお土産にもなるというように、四方に気を回した結果なんだというわけだ。

その宇野が昭和17年に刊行したこの「二つの道」には「若い日の事」と題した短編が収めてある。

主人公は東京の大学を出たのだが、奈良の母親の住処のそばの若い女と親しくなり、文通したり、逢引きを重ねているうちに、実は女はおてかけさんだとわかってくる。

しかし主人公は母親を入れて3人なら問題なかろうと女と旅行に行くのだが、これがパトロンにバレて女は電報で男の元へ呼び戻される。

女と逢えない失意の日々が続く中で、パトロン以外の男も夜忍んで来ていることがわかったりもした。

東京に帰り、職探しに明け暮れている主人公のところに、女に捨てられた幼馴染の男が転がり込んできて、話し込んでいるうちに実はこの男は主人公の気にかけている女の幼馴染で、愛し合っていたのに突然てかけにされて引き離されたことがわかってくる。

こういう話でほとんど横溝正史みたいなドロドロしたストーリーでよく誰も死ななかったものだと思うほかはない。