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古本屋日誌
突然坪内祐三の訃報に接して衝撃を受けた。
急性心不全とのことで驚くほかはない。今週の「週刊文春」には例の通り文庫本の書評があったし、「本の雑誌」の年間文庫のベストも書いていて特段の変わりもなかったからショックだ。
坪内には大阪に関する著作が2冊あってともにピアから出ている「大阪おもい」「まぼろしの大阪」なんだが、坪内が興味津々だったものを挙げてみよう。
❶織田作之助、細かい市井の描写から織田は伝統的な大阪の街並みが好きだったはずだと坪内は言う。
❷ダイビルの屋上にあった広大な緑地。東京にはないジャングルのような緑地とのことで坪内はかなり気にしていた。まああれですね、今は建て替えられてないけどね。
❸宗右衛門町の巨大キャバレー「メトロ」坪内は映画の「めし」でもその内部を確認していた。
❹大川を行き来する観光船から見た中之島や両岸の緑に富む風景。東京にも船の観光はあるが坪内は「緑も少ないし、単調な風景だ」という。
❺アルサロに勤めながら「道頓堀左岸」などの人情小説をものしていた磯田敏夫。これはもちろん織田作の懐古趣味に通じるものだ。
❻中津の出版社「編集工房ノア」の出しているPR誌「海鳴り」、概ね年一回の発行だがそのレベルは高いね〜
❼阪神間モダニズム、非常にオシャレな雑誌やポスターがあって、洗練されていて坪内は気に入っていたが、谷沢永一は「大阪は雑誌だけは洒落てるんですわ、他はちょっとやり過ぎなくらい泥くさいのが大阪の人の好みなんですわ」と言っていた。
❽箱寿司、心斎橋筋に面して道行く人を眺めながら鮓が食べられた「本福ずし」。坪内は銀座では到底無理、素晴らしいという。
とまあ思いつくままに挙げてみたが、つまりは情緒的な伝統を継承しているものと東京では手に入らないものなんだよなあ。
うちの本屋は坪内から2回注文を頂戴したことがある。2回ともPHP新書の「大相撲新世紀」でもちろんこれは坪内祐三ご本人の著作で、帯付きの1刷でなかなか手に入れにくいものだったのだが、高い値段でお買い上げいただいた。
このホームページで何度か坪内の著作を取り上げたお礼だと思いたい。
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