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古本屋日誌
2019-12-12 08:18:00
岩波文庫から近代100年の東京の変貌を小説やエッセイでたどる「東京百年物語」が全3巻で出た。
その2巻目に中野重治の「雨の降る品川駅」が収録してあって、例の「日本プロレタリアートの前盾後盾」がちょっとおかしいのではないのかという話はよく聞かされた。
まあそれはどうでもいいとして、解題によればこの詩は昭和天皇の即位式の邪魔になるからという理由で朝鮮人を強制送還したことを読んだものなんだという。
今回収録のものには1929年の雑誌「改造」掲載時には伏字になっていた部分も復元してあって「君らは雨にぬれて君らを追う日本天皇をおもいだす 君らは雨にぬれて髭 眼鏡 猫背の彼を思い出す」がそれに当たる。
昭和天皇の即位式に、当時は大日本帝国臣民である朝鮮人が強制送還されてしまうのは皮肉な話だ。
まああれですね、朝鮮を植民地化したわけだから、大日本帝国には清濁併せ呑む度量が求められていたのに、混乱を恐れたり、過剰警備で臣民たる朝鮮人が追い返すとは言語道断、わけがわからない。
その当時に的確に矛盾を指摘した中野重治の慧眼は大したものだ。