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古本屋日誌

2019-09-20 11:53:00

先日編集工房ノアのビーアール誌「海鳴り」の15号を入手しました。なかなかボリームもあり内容も多彩でノアの目録も充実していて面白い雑誌なのでぜひお求めください。

 

この中に杉山平一がジュンク堂でやった講演「大阪の詩人と作家」が収めてあります。杉山は藤澤桓夫をまず取り上げて「花粉」の中の船場の金もの話を語っています。なんでも金もの爺さん、つまり親だんさんですな、若い者と「阿弥彦」とおぼしきうなぎ屋に入ってまむしを頼む。若者は運ばれてきたおわんのフタを開けてぱくつきますが、老人はフタをおさえて丼を逆さまにしてしばし、おついを満遍なくご飯に沁み渡らせてからおもむろに「おなごっさん、済まんけど竹の皮持ってきてや」と呼んで鰻は包んで持ち帰り、タレの沁みたご飯だけを食べたそうだ。

杉山は戦後藤澤が忘れられてしまった理由を「藤澤は小説の中でいい人ばかりを描いてしまった」からではないかと書いています。

まああれですね。ケチでバカな爺さんですな。見苦しいし、味も何もわかっていない、一緒にいる若者の気持ちなんかおかまいなしだ。藤澤はそういうステレオタイプ化された大阪の人間を描いてばかりいたわけで、現実とは違うし、型通りなので深みもなくつまらない。

ただ風俗小説としては面白いところもある。まむしだからご飯の中に鰻がタレと一緒にはさんであることがよくわかりますね。でもまあそんなことは常識だから今さら確認できてもねえ〜〜〜〜。