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古本屋日誌
2019-09-04 10:25:00
廃刊になった「大阪人」が自分の推す「大阪本」特集をしたことがあり堀晃の「梅田地下オデッセイ」が複数の支持を得ていた。
ようやく文庫本を入手できましたので、ぜひお読みください。
内容をお伝えしましょう。
梅田の広大な地下街に主人公ら数百名が閉じ込められてしまい、地上に通じる全ての階段、シャッターが閉鎖されてしまう。電気や空調は大丈夫なのだが、全く救援が来ない、パニックに陥った群衆は食料を求めて阪神百貨店の地下、阪急百貨店の地下、その他の三ヶ所にグループを組み相手を襲撃して凄惨な殺し合いに発展する。主人公はふとしたことで女を助け関係を持ち、女は妊娠して地下で出産する。
この赤ん坊がエスパー的な超能力を持っていて複雑に入り組んだ地下の迷宮を正しく解き明かしてついに地上に続く出口を発見する。
ここでようやく謎が明らかになり、群衆を地下に閉じ込めたのは極限状況にさらすことで、人間の潜在能力を引き出して迷路をものともしないリーダー的な存在を生み出したかったからだとわかる。
まああれですね、都会の無機質な、機械的な空間に高い価値を見出そうとする流れに位置付けられる作品です。小野十三郎の「詩集大阪」や百田宗治の「怒っている海」とか日野啓三、果ては「工場萌え」ですね。
地下街を日々利用する人間にとっては阪急三番街の北の外れににあった11メートルのゴンドラ付きの滝だとかプチシャンゼリゼが癒しの空間でも素敵なブティクが並ぶモールでもなく、自分を閉じ込め命を奪おうとする凶悪な空間に変貌したイメージは新鮮で確かに印象に残る作品ではある。あわせて万博を掉尾とした大阪の栄光の残り火のような作品だと考えることもできる。メイズに満ちた近未来的な都市空間をそこに感じることができるからだ。