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古本屋日誌
昨日の晩NHKで1953年に制作された「ひろしま」が放映、原爆を真正面から描いた作品で素晴らしい。
劇場公開はアメリカの横槍で果たせなかったもので、近年その価値が認識され各地で上映会が行われている。日本の戦争映画はことごとくくだらないものばかりで、見るに値しない。そもそもリアルでない上に現代人の価値観で物事を単純化裁断するから、薄っぺらなものしかできない。
ところがこの作品は原爆の真実に迫ろうという真摯な姿勢が感じられ、山田五十鈴扮する女学校の教師が被爆した生徒とともに左へ右へとよろめきながら階段を降りて太田川に入るシーンや、川の中で皆が固まって手を繋ぎあい、流れに翻弄されながらも君が代を歌いながら、それでも力尽きて一人また一人と流されていってしまうシーンは印象深い。
親戚のところに疎開していて難をのがれた幼い兄弟が、ひろしまに親を探しにやってきたが、母親は自宅の下敷きになった上に炎に焼かれ、長兄も避難所で力尽きて死んでしまい、ようやく探し当てた父親も死の淵にあった。兄はためらってはいたが死相があらわれてうつぶしている父親に「父ちゃん‼️」と呼びかけることができたが、もっと幼い妹は「こんなの父ちゃん違う‼️‼️」と叫んで突っ立ったまま近寄りもしない。看護婦が「そりゃ人相は変わってるけど、あんたのお父さんなんやから」となだめても信じようともせず、そのまま行方不明になってしまう。
冒頭には、新型爆弾のモルモットにひろしま市民をして20万人を殺したアメリカの蛮行を批判するシーンがある。そこではドイツはガス室で人を殺したがアメリカはそれをはるかに超える全市民の抹殺を実行したと激しい批判をくわえている。
まことにアメリカの行為はその通りであってだからGHQも我慢ならず劇場公開を許さなかったのだろう。