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古本屋日誌

2019-06-01 11:59:00

作品社から「現代語訳 墨夷応接録」が出た。安政のペリー来航時、幕府の責任者として交渉にあたった林大学頭によるものだ。編者の森田健司もいう通りアメリカ側の「ペリー来航記」は岩波文庫や角川文庫でも昔から容易に読むことができていたのに、肝心の日本側の一級資料が広範に読みうる状態になかったのは異常で、今回の出版は広く江湖の喝采を浴びることになるだろう。

早速一読して興味深かったのは函館の開港に関するやり取りで、ペリーは林に「港の様子を見たいから視察に行きたい、上陸などは考えていない」と了承を求めている函館に出向いた。

しかし函館に到着すると「上陸させてくれ、周囲を確認したい」と言い出し現地の奉行が拒絶すると「それでははるばるここまで来たことが無駄になってしまう。神奈川からここまで来るのにかかった10万両を支払ってもらうことになる」と脅迫した。

林は戻って来て「函館は良港で申し分ない」というペリーにこの件を追及したところ、しらばっくれたが、結局函館でのアメリカ人の外出可能範囲を下田の10里四方から五里四方と軽減させることに成功した。

なかなか立派なものだ。