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古本屋日誌
2019-05-21 00:01:00
中野孝次は2004年に死んだがその直前半年分くらいの日記を付けていて文春文庫から「ガン日記」と題して出版されている。
中野は碁が趣味で碁会所に出向いて手合わせをしていたがどうも胃のあたりがムカムカしてすぐれない、病院で診てもらい細胞検査となって食道がんが見つかります。
高齢(79)ということもあるし、抗がん剤や放射線治療が身体に大きなダメージを与えて正常な日常生活を営めなくなってしまうことを危惧して初めは漢方薬などの民間治療を選択して過ごします。
中野には「清貧の思想」というベストセラーがあって、ひたすら金儲けに血道をあげるのではなく、近代文明の利器に頼った快適な生活を嫌い、田舎で慎ましく過ごすのをよしとする考えが述べてあります。
中野はもともと千葉の工務店の跡取り息子で、大工になることを嘱望されていたが、その手の仕事を嫌い、勉強に励んで東大に合格しブリューゲルなどのドイツ文学の研究家となりました。まああれですね、日本の田舎を毛嫌いするようあるところの西洋かぶれですね。ところがかぶれたまま生涯を全うするのでなく老境に入ると今度は日本の田舎に憧れて「清貧の思想」とか言い出すわけです。
それはいいとして、ついに命の危機が迫る中で標準的な治療をあくまでも拒んで静かに枯れるのを待つか、そうではなくやはり入院して延命治療を選択するのかの瀬戸際に立たされます。結局彼は入院して放射線治療などを行う道を選択します。
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