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古本屋日誌

2019-05-16 16:44:00

朝から奈良国立博物館に出向き11時くらいに入場券売り場に並び、間も無く入れたが、館内で例の曜変天目茶碗の展示ブースのところで50分待ちの表示となっていて、実際には30分くらいで見ることができた。

この曜変天目茶碗は大正7年に藤田伝三郎の息子の平太郎が水戸徳川家の売立で54000円あまり、今でいえば2億5000万くらいで落としたものだという。茶碗にそんなに価値があるのかとあらためて驚かされる。しかし藤田が購入したものでは天目茶碗が最高額ではなく、御所丸黒刷毛茶碗が11万(今でいえば6億円くらい)ほどもしている。

図録の解説によると伝三郎は骨董屋が持ち込んだ品物は真贋にかかわらず全て購入した、ただし蔵を一番から四番まで分けていて、その骨董屋のいる前で「これは一番に入れておけ」とか「こっちは4番でええわ」と査定していたそうで伝三郎が自らの鑑識眼に自信を持っていた証拠だろう。

これですよね、コレクターの基本中の基本、なんでもいいから買いまくることです。本のコレクターの場合もいちいち読んでいるようでは集めきれません。

骨董屋も半分偽物かなと思いながらも持っていく場合があるわけですから、不安なわけです。それでもこうてくれたわけですから、藤田に恩義を感じます、今回は大目に見てくれたんだから次は損はさせられないと思ってしまいます。

藤田美術館は世界恐慌の煽りで会社の経営が悪化し昭和12年までに3回の売り立てを行いそれなりの名品を売却して合計750万円もの売り上げとなったとある。なかなか商売としても大したもんだなあ。

藤田美術館は現在休館中で3年後の春に新館をオープンさせるというのだが、その建設資金にアメリカのオークションに掛け軸など30点ばかりを出品して合わせて300億円ほどになったと報じられている。美術館が資金獲得のために所蔵品を処分することはしばしば行われることで、不思議はないのだが、今回も立派な収益を上げたわけで誠に喜ばしい。