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古本屋日誌
今朝は霞がかかり生駒の山並みも白く見えます。
中公文庫で大岡昇平の「レイテ戦記」が全4巻で新装版が出ました。以前の3巻本に比べて活字が大きくなり読みやすいことに加えて関連する対談やエッセイが新たに収録してあります。レイテの戦いを描いたものとして出色の出来栄えなんですが、とりわけ心惹かれるのは日本軍の卑怯な戦術です。海兵隊の前にフイリッピン人の部隊が出てきて、武器も所持していない。アメリカは現地の人とは友好関係を築きたいし、スパイやなんやかやで、友軍の関係にもある、したがって一瞬警戒が緩んだところに後ろに隠れていた陸軍の大部隊から一斉射撃を受け大きな人的な損害を出して後退を余儀なくされる。また日本兵の部隊が白旗を掲げ両手を挙げて接近してくるので、当然投降するのかなと気が緩みます、間合いが詰まったところで後ろの日本兵が機関銃で攻撃してきて大損害を受けたとある。大岡昇平は後にレイテを戦い無事に帰国できた兵隊を訪ねて、この「卑怯な戦術」のことを伝えたところ皆一様に「そらうまいことやりやがったなあ」と心底感心したので、またびっくりしたと書いています。大岡としてはいくら戦争だとはいえ、守らなければならない最低限のルールはあるだろうに、日本軍のやり方はいくらなんでも……というわけですね。大岡の分析では日本兵がこういう戦術に後ろめたさを感じない理由は「アメリカの物量があまりにも卑怯だ」と感じていたからなんだそうだ。
確かに機関銃からバズーカ砲、艦砲射撃、航空機からの爆撃はそれとしても、キャンプには家族同伴が許されていたり、それがない場合もちゃんと慰安所が設けてあってストレスを感じることなく戦闘に臨めるわけですから、それを見せつけられると怒りも増すというものですね。スナックや慰安所で遊び、家族も来ていて、弾薬やら薬から食べ物から天国のような生活を満喫しているヤンキー風情に戦友を射殺されるわけだからその怒りはよくわかる。