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古本屋日誌

2019-01-06 11:37:00

今朝は寒さも大したことはなく、冬らしい乾燥した雰囲気もなくしっとりしていて過ごしやすい。

耐震工事中だった南座がオープンし夜の部で「義経千本桜」がかかり先日Eテレで放送があり「小金吾討死、すし屋」を見ました。いつものことながら主君の維盛の息子やよめを助けるために自分の嫁と子どもを身代わりにし、その責任を取って自らも父親の手にかかって死ぬとのお話で、くだらないといえばまことにくだらない。

封建道徳が跋扈していて主人のために命をはるのは当たり前で、理不尽だとは思われていないことがよーく理解できますので、そのようなふざけた社会に自分が生まれなかったことには感謝しました。

妻子が梶原景時の手の者に引かれていく、子どもは名残惜しそうに父親の方を何度も振り返りながらとぼとぼ歩いていく、父親は仁左衛門なんだが眼も血走り、ガバリとひれ伏したり、打ちふるえたりとこちらも苦悶の姿、これが長く続く。これはヒーローがやられるシーンなわけで、ウルトラマンが磔にされてゼットンにやられるシーンとか横溝正史の「女王蜂」の大道寺智子が密室で犯されてしまうシーンとか石原慎太郎の「月蝕」みたいにスケベな父親にやられるようなもので聖なるものが汚される時に思う理不尽さです。

ウルトラマンは地球を侵略から守ってくるヒーローだし、大道寺智子は絶世の美女ということになっているし、まあその魅力は平成のわれわれにも十分わかるので共感できます。しかし「義経千本桜」は平維盛の嫁とか息子とかだったり、果てはすし屋のごんたの嫁と子どもですからね、あんまり感情移入できません。配役が片岡秀太郎ですからね、昭和16年生まれの爺さんです、これではやられる女に漂う色気や悲壮感は出ない。むしろ仁左衛門の孫の千太郎は当たり前だがなかなかのイケメンではまり役に思えるがなぜか切られて死ぬ小金吾役で残念だ。