Welcome
古本屋日誌
2018-10-29 12:35:00
今朝は小雨まじりで曇ってましたが、やがて雲間から日の光が差して天気です。
昨日の晩NHKが「夏祭浪花鑑」をやっていて中村吉右衛門が子どもと出ていた。本人も言う通り大阪弁は義太夫で練習しているとはいえあんまり達者とはいえないが、歌舞伎特有の歪んだ魅力に溢れた面白い芝居だった。
団七の嫁のお辰が磯之氶を引き取ろうとするが「お前には色気があるから磯之氶とややこしなるやもしれん」と言われて思い余ったお辰は焼火ばしを取り上げて己の顔に押し当ててひどい火傷を負い、色気を消して一件落着となる。器量よしだから男に毒だと言うのもよくわからない話ですが、確かに六月の酷暑の中都合よく焼火ばしがスタンバッテいるのも面白い御都合主義でまるで「ガラスの仮面」のような楽しさです。さいごの長町裏の段では団七が義父に雪駄で顔面を破られてたらりと血が垂れるシーンで「男の顔を潰した」と辛抱たまらんようになって義父を切り殺してしまうくだりが延々と続いていき、いつもながら悪趣味だなと感心します。近松の女殺油地獄も同様の展開が長々続き、まあ刺激の少ない徳川時代の大衆にはいいガス抜きにはなったのだろうが、我々からしたら、くだらないのひとことにつきる。額から血が出たくらいで体面がどうだとか、男の一分がすたるとかいう価値観には全く共感のしようもなく、バカバカしいというほかない。
しかしこういう露悪趣味や途中で引き返してきてハッピーエンドには決してならない芝居は現代では稀ですから、新鮮味はありますね。ボケとツッコミでいえば、一方的にボケまくって、一切ツッコミが入らない漫才のようなもので、最後はどこまで行くんやろ〜てな楽しみがあります。