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古本屋日誌

2018-10-04 12:53:00

今朝はそぼ降る雨でふらみ降らずみ、秋めいてきました。

昭和10年発売の井東憲の「重役病患者」を入手しました。関西編と関東編に分かれて当時の大会社の経営者や重役達が金儲けに奔走する姿を皮肉交じりに、つまり金のことばかり追い求めていてバカ丸出しやなあというタッチの冷めた筆使いでしかも興味津々で描いた楽しい小説です。登場人物は一応仮名にはなっていますが、巻末に索引が付いていて実はこの人のことですと実名が書いてあります。今ならプライバシーだの名誉毀損だなとなってとてもとても無理な内容で、そういう点からも素晴らしい作品です。例えば阪急の創始者の小林一三ですが、現在の阪急百貨店のところにすでにあった別の百貨店と始めのうちは提携して共存共栄を謳い阪急電車の降り口を百貨店の入り口と直結させるなど便宜を図っていた。しかし小林一三は次第に自分で百貨店を経営した方がずっと儲かるし、楽しいことに目覚めて、この百貨店の追い出しを図り、電車の乗降口を遠ざけて経営が傾けるように仕向けるわけです。

こういう感じで、なかなか今では聞けない暴露話もあれこれあって傑作ですから、是非お求めください。その上で小林一三には「曽根崎艶話」という芸者遊びを描いた楽しい作品もあってわりと簡単に入手できます。、