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古本屋日誌

2018-06-08 00:19:00

昨日は天王寺まで仕入れに伺いました。天王寺ステーションデパート、今の天王寺ミオですがここから阪堺線や近鉄百貨店に行く大きな歩道橋があって、以前は歩道橋にはアーケードのように上をさえぎるものはなく西側のホテルエコーや北側の天王寺公園やステーションデパートがよく見えて私は好きでした。実はJR高槻駅にもローターリーに大きな歩道橋があってその上には花時計が設けてありました。ところがこれらはなぜか架け替えられてしまい天王寺のには雨でも濡れないように天蓋が付いてしまい眺望がきかなくなったし、高槻駅のは花時計そのものが撤去されてない。とか思ってたら昨今出た井上章一の「日本の醜さについて」を読んだら諸外国で町の中心部に歩道橋があるのは日本くらいだとある。歩道橋があまりにも街の景観を壊すからなんだそうだ。確かに石造りの古い街並みが残るベネチアとかロンドンとかにむき出しの鉄の柱が露出するのは気味の悪いことだ。でも俺はその気味の悪い橋から見える景色がいいと思っていたんだからバカなのかなあ。

石原吉郎の「望郷と海」はシベリア抑留の話があれこれ書いてあって氷点下40度にもなる酷寒の大地で作業を強いられるのに服の合わせ目を留めるボタンはソ連兵に没収されてしまうので、寒さから身を守るために自分で針を作り服を繕って風が入らないようにしなければならないのだが、当然針の所持は禁止されているから見つかったらえらいことになる。しかし寒さは寒いし背に腹はかえられぬ、みんな隠れて短時間に工夫して針を作るのだが、石原吉郎は針を持っていると密告されて取り調べを受けた。密告したのは同室の体が悪くて作業を免除されている弱者だったそうで、石原はその原因を嫉妬だと記す。ちくっても自分に特段メリットはないんだが、身体が自由に動くやつがそれを生かしてあれこれ快適になって行くのは嫌だという嫉妬で、それはあるんだろうなあ。

つくづく今の世でよかったと思いました。