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古本屋日誌
今朝も余り暑うはのうて過ごしやすかったです。気温は昼間は高なるようですが、あまり暑い実感はない、カラッとした天気です。
鴻上尚史の「不死身の特攻兵」で取り上げられたせいもあって高木肇の「陸軍特別攻撃隊」が人気で古書価格もうなぎのぼりです。私は「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ」も大した作品だと思うんですが、こちらの方はあまり話題になりませんね。高木の作品は陸軍の三式陸航による特攻は完全に強制されたもので、成功を期すために航空技術に長けたベテランパイロットを無理やり動員したことを書いています。
また鴻上も書いていますように特攻は命中率も高くないし、爆弾を投下するならその加速度は相当なものだから空母の甲板を突き破って内部で爆発を起こさせて撃沈出来る可能性もあるが、体当たりだと加速度さほどでもないし、航空機は軽く出来ているので衝撃力もない上にそのパイロットを死なせてしまうという欠点があります。おまけに陸軍は海軍と違い敵艦の装甲を破れる爆弾を持っていないために命中しても爆弾がすぐに破裂してしまい空母の内部を破壊出来ない欠点もありました。それにもかかわらず、強引に特攻を推し進めたのは何故なのか気になるところです。指導部が馬鹿なのか、近視眼的なのか、破れかぶれの捨て身の戦法なのか。
去年中公文庫から上、下二巻ででたオーリシャスの「トーキョーレコード」は大東亜戦争に突入する直前の東京の姿をニューヨークタイムズの記者が細かく描いた面白い本なんですが、その中にすでに1941年の段階で日本が特攻を計画していることが記してありました。いわゆる回天とかいう人間魚雷の計画なんですが、そんなに前から自爆攻撃をプランニングしていたわけだから、陸軍にせよ海軍にせよもうやることは決まっていたわけです。戦争になる前から自爆攻撃を考えたのは何故なのか知りたいところです。
百田尚樹の「永遠の0」も優れた小説で例のバンカーヒル攻撃を念頭に置いて書いてあります。百田尚樹は小説の書き手としてうまいのでこの小説でも特攻前に妻と別れるシーンは涙をそそりました。百田はこれはこれで金儲けをしてという読みがあるんでしょうが「パットン」みたいな軍人をリアルに描く作品になってないのは大いに不満です。沖縄でも首里の決戦で米軍の戦車部隊を蛸壺に入って攻撃し壊滅的な損害を与えたことを誇りに思って私に話してくださるかたを何人も見ましたが、戦後的な制約のためにそれが作品となることは一度もなく、言論も弾圧されて久しい。百田尚樹の作品も同様の戦後的な制約を利用したもので、なんでそんなに遠慮するのか不思議だ。