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古本屋日誌

2018-04-24 12:51:00

今朝は天気予報通り曇り空でやはり雨になりました。先日お客さんから賀川豊彦の「死線を越えて」三部作(教養文庫)や大正10年の「貧民心理之研究」などをお譲り頂きました。賀川はノーベル文学賞の候補になっていたことが最近わかりましたが、確かに「死線を越えて」の改造社版は発売間なしに100刷などと刷ってあった、まあ半分は売らんかなの戦略でしょうけれどそれにしても大した売れ行きです。世評では賀川なんかがまちごうてノーベル文学賞を受賞することがあれば、賞の権威に傷がつく、選考委員は何もわかってないとか批判が多かったが、「死線を越えて」は文学作品としてよくできていて心打たれる。神戸の新川の貧民窟でキリスト教の伝道を始めるのだが文字通りの辻説法でスラムの街角に願人坊主のように突っ立ってあれこれ説教を始めるが、仕事にあぶれた連中やひまじんやら何やらにおちょくられたり、殴られたりする。まあそりゃあそうですね。原罪とか言われても戯言にしか聞こえませんからね。賀川の新婚の家にもようわからん人たちがやってきて勝手に泊まったり、飯を食って行ったりする。

こういうので私は気になりますがね。何か間違いは起きないんだろうかと。そういえば松下幸之助も創業の頃は鶴橋の長屋で嫁とあと男の従業員と三人で二股ソケットやらの研究に勤しんでいたのだが、これも間違いないのかな。というよりも一緒にすまなあかなんだ従業員て大変ではないのかな。まあ性の意識はかなり今とは違っていたんだろうけど気にはなるなあ。

陰惨なもらい子殺しの話も赤裸々に語られる。貧の盗みみたいなものかもしれないが、わが子を育てられない親から嬰児を金品をもらって引き取り代わりに育てるという触れ込みでその実もろた子はどんどん殺してしまう。

賀川はこういう体験を踏まえて「貧民心理の研究」を刊行して、おかしな振る舞いに及ぶ貧民の心のあやをあれこれ書いていて興味深い。やがて神戸の海軍がらみの造船所などで大規模なストライキやデモを組織して日本中を震撼させることになります。