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古本屋日誌
今日は雨でかなり本格的なお湿りで雄猫も例によって外に出ようとはしたが降りがきついのにすぐ気づいてすごすご戻りました。
先日お客さんから猪瀬直樹の「日本凡人伝」のシリーズをお譲り頂きました。新潮文庫でもありますがお客さんは単行本も揃えておられてともにいいコンディションでした。猪瀬は東京都知事だったわけですが市井の普通の人のルポが非常に面白く初めは反あたり収量が日本一の農家だとか東大の時計台の地下で長年時計の修理をやっている職人とか、まあそれなりに有名なひとが登場してましたが、すぐに葬儀社を経営して儲けてるひとてな感じで本当に普通の人の生活を細かく描写するようになりました、初めの日本一の農家の時も表彰された後見学やテレビなどの取材でえらいたくさんの人がやってきて田んぼの畦が踏みつけられて傷んでしまって往生した話をたんたんと述べている姿をしっかり書いていて印象深い。自分が日本一に輝いたわけだからある程度騒がれたい気持ちもあるし、しかしそうなったらそうなったで畦が踏みつけられて来年の耕作に影響が出てしまうのも腹立たしくもあるし、でもそれはそれでもまあいいやと落ち着いたという話です。だいたい普通の人の生活の方が興味深いに決まっているわけで、NHKで相葉がひつこくやってるアスリートのインタビューなど全然面白くない、誰も言うことが一緒で深みがなく能天気な戯言です。
猪瀬は以前「天皇の影法師」という八瀬童子の話を書いてました。天皇が死んだ時にその棺桶を担ぐようの定められた人たちが近代化の中でその役割を奪われていく過程を細かく追いかけた面白い作品です。まあ宮内庁にしたらなんか得体の知れない連中が京都から出てきて葬儀に加わらせろとごねてるという感覚なんだろうが、葬儀の伝統を公然と否定しようとしていることも間違いないわけでそれでいいのかとも思う。