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古本屋日誌
3月31日の日曜日、晩の7時くらいに戎橋筋を歩くと、ものすごい人に驚かされた。外国人がたくさんいて、どの店も繁盛している。
千日前通から少し上がったところ、右手に一階はジャンカラのビルがあって、2階と3階はBOOKOFFになっている。
エレベーターに乗ると俺以外の5人は全員3階。
ここはブランド品、ハンドバックやジュエリーを扱っているのだ。
2階の本やCDの売り場は人も少なく、外国人客は漫画コーナーにちらほらいるだけだ。
浮世絵や版画、和本なら彼らの目を引くこともあるのだろうが、普通の活字本ではむつかしい。
一階のジャンカラは本人歌唱というのが導入されていて、アーティスト自らが歌うのを拝聴出来る。
カラオケはもともと客が歌うためのものだが、本人歌唱の登場で、コンサートみたいに歌を聞きに行く場所にもなったわけだ。
照明を落として大音量で聴くこともできるわけだから、ファンにとっては天国みたいなものだろう。
もうこうなったら過去のコンサートを丸ごと聴けるようにしてもらいたい。
新刊書店なら著者本人を招いてサイン会を開催して売り上げ増に繋げることもできる。
しかし古本屋は著者を招こうにも、著者の方にメリットがないからむつかしい。
サイン色紙やイラスト色紙を描いてもらい、販売するイベントなら、可能性はあるけど、それは個人的な繋がりがないとなし得ないことだ。
2時間なら2時間、古本屋に著者が滞在して、その間イラストをファンに書いてあげるとなれば、足代も含めて古本屋の負担は相当なものになるから、通常は現実的ではないとなるだろう。
だから店主と個人的な繋がりがあって、「〇〇さんのためやさかい、しゃあないな」と思ってくれないと無理だということだ。
角川書店から出る予定だったが、抗議と脅迫で出版できなくなったトランスジェンダー本が、ようやく産経新聞出版から出た。
つい先日も産経新聞や書店に脅迫状が届き、この本を販売した書店を放火するなどとあったそうだ。それにしても言論の自由はどうなっているのかな。
タイトルは『トランスジェンダーになりたい少女たち』。
今回はAmazonが発売当日、4月3日に届けてくれるというし、ポイントもつくので予約することにした。
ところが4月2日にくまざわ書店のサイトで検索してみたら、かなりたくさんの店で△表示になっていて、これは在庫僅少ということだ。
とにもかくにも本があるわけだから、すぐに読みたいし近所の京阪百貨店守口店にあるくまざわ書店にオーダーを入れてみた。
Amazonと被るけど、その分は売ればいいし、問題はないだろうと思うのだ。
ところがなかなか在庫確保のメールが来ない。今日になってからようやく、品切れのメールが届いた。なーんだ。
また、ジュンク堂のサイトを見ると大半が品切れで、生駒店とか学園前の店など3店舗しか在庫がない。こんな遠方では意味がない。
さて、Amazonからは午前中に版画届いたので早速読み始めた。
前半に書いてあるのはトランスジェンダーだと訴える人はこれまでは漢が非常に多かった。
女はその世代の0.002とか0.003パーセントくらいしだったのだが、このところものすごく女が増加している。
この人たちは幼い頃は自分が女であることに違和感を抱くことはなく、思春期になって初めて自分はトランスジェンダーだと訴える傾向が強いというのだ。
これはネットのインフルエンサーに影響されてそうなってしまっているのではないかとある。
今日は嫁と橿原神宮に出向いた。15万坪あるそうで、広大な敷地に玉砂利が敷き詰められて、10メートルを越える木製の鳥居が目を引く。
建物は皆新しいもので魅力はないな。(京都御所から移築されたものはある。)
外国人の観光客はほとんどおらず、地元の親子連れがちらほら。
巫女体験と称して、子どもに巫女装束や衣冠束帯姿を体験させるイベントや1時から蓬餅を無料で配ったりしている。
ここは、明治の天皇制国家づくりの一環として造営された神宮でしかないものなので、観光地としては無理があるわけだ。
また、ここに隣接する「神武天皇陵」なるものは、明治時代に元からあった村落を強制的に立ち退かせて造成したもので、そもそも古墳ですらなくでっちあげだ。
駅まで戻ってタクシーで今井町。
運転手の話では「外国人客は世界遺産中心に旅をしているので、東大寺やら興福寺、法隆寺なんかに集中するんですわ」という。
確かに今井にはほとんど外国人客は来ていないな。
しかしここは横600メートル、縦300メートルにわたって徳川時代からの街並みが500棟以上良く保存されていて、素晴らしいスポットなのだ。
クーラーの室外機や消化器は目立つので、茶色の木材ですっかり覆ってある。
また電信柱もコンクリートに茶色の着色、トランスも同じ色で覆って目立たないようにしている。
こういう細かい気遣いは、京都にはないよなあ。
今井はもともと綿花の栽培で財をなしたところで、その資金にものをいわせて、徳川時代には両替商や造り酒屋なども経営して、広く大名貸もやっていたのだ。
そのため諸大名が差し出した質種や財力の証である贅沢品が残っている。
たくさんの伊万里焼、浮世絵、骨董品、鍵盤がすべて象牙のピアノなんかもある。
京都にはそういう街並みはないし、日本全国探してもないんじゃなかろうか。
その中の一つ、高木家にお邪魔して、おばあさんからお話を伺った。
なんでも築200年を超えているそうで、黒光りする柱や横木、今もきれいに残るへっついさん、煙だしなど興味深い。
高木家では岡田准一が土方歳三を演じた映画『燃えよ剣』の撮影が行われたそうで、朝から晩まで一気にいろんなシーンを撮った。
「ジャニーズはね、サインとかはしないんですわ。転売する人がいるからゆうてましてな。せやさかいうちにもありませんねん。
あとね、写真も撮ったらあきませんねん。周りに目ぇ配ってる人らおってね、写真撮ってる人見つけたら『あかしません、消してや‼️』て強うにゆうて消さしてましたわ」
1981年の京都大学教養部では、日本国憲法の講義が川口是教授によって行われていた。
この人は共産党との関係が深い人で、まもなく京都府知事選に立候補して退官することになる。
彼はその講義で、ベトナム戦争当時の北爆を取り上げた。
嘉手納基地から戦略爆撃機B52がベトナムに飛んで大規模な攻撃を加えていることについて、国会で「沖縄の基地からベトナムを攻撃しているわけだから、わが国が反撃される危険性があるのではないかと❓」との質問が出た。
政府、自民党の答弁は「それはそうだが、ベトナムは遠いので、反撃を加えてくることはないと考えている」というものであった。
川口は「これでは日本の安全は距離にかかっていることになる。危険極まりない」と批判した。
しかし戦争とはそういうものだろう。
やり合っているのだから、敵の力量の判断が不可避で、ベトナムの当時の戦力ははるばる沖縄まで攻撃を加えられないと踏んで、嘉手納からの爆撃にゴーサインを出したわけだから、問題はない。
むしろ川口に戦争の意識がないのが不思議だ。日本国憲法は諸国民の公正と正義を信頼して戦力を保持しないなどとうたっているが、朝鮮戦争やベトナム戦争が勃発している状況の中で、極めて不合理な理屈だからだ。
今日の朝日新聞に例のトランスジェンダー本の出版停止問題が取り上げられている。
元々のタイトルは『取り返しのつかないダメージ 娘たちをそそのかすトランスジェンダーブーム』というもので、これが角川書店の翻訳本では『あの子もトランスジェンダーになった SNSで感染する性転換ブームの悲劇』となっているそうだ。
出版社は売らないといけないし、それなりのタイトルにするのは、なんの不思議もない。
それにもかかわらず角川書店は去年の12月5日に刊行中止を決めて、「タイトルやキャッチコピーの内容により当事者の肩を傷つけることになり、誠に申し訳ございません」と陳謝したとある。
これがよくわからない。
当事者を傷つけるのが、なぜ問題なんだろうか❓
そりゃ暴力で怪我を負わしたということならば、刑事事件だし大問題だろう。
しかし言論で傷つけることを問題にしてしまったら、行きすぎるに決まっている。
どつかれたとか、蹴られただったら、血もでようし、骨折することもあって、客観的にその酷さがわかる。
しかし文章で傷つけられたなどいうのは、真実は誰にもわからない。
そんなことまで容認してしまったら、言葉狩りや言論統制に行き着くだけだ。