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古本屋日誌

2024-05-13 11:23:00

武田百合子の本は、今月も中公文庫で『対談集』が出た。

 

 

『富士日記』や『犬が星見た』なども次々新版が刊行されていて、活字が大きくなり読みやすくなった。

 

 

ロシア旅行記である『犬が星見た』の単行本は1979年で、1200円だった。半世紀近く前だが、本は安いね。

 

 

今なら2000円くらいだろう、あんまり値上がりしていない。

 

 

この本では、銭高組の会長の老人(80)も一緒に旅をするのだ。その大阪弁を武田はうまく書き残していて面白い。

 

 

地元では大阪では、周りの人たちが集まってきて、なんでもやってくれるので、嫌になった。ということで、武田らとの(夫の武田泰淳や中国文学者の竹内好ら)ごく普通の団体旅行に参加したというわけなのだ。

 

 

ロシア内陸の6月はひどく暑く、40℃に近づくこともあるし、バスに揺られて悪路を何時間も移動することもある、それをこの銭高老人は、あれこれ文句を言いながらもこなしていく。

 

 

そういえば、学生の頃麻雀にはまって、毎週雀荘に出向いて仲間と打っていた。

 

 

その中にある会社の社長だという人がいて、常に負ける。

 

 

5万くらい毎回負けてくれるので、雀荘に払うしょば代も出るし、お小遣いももらえる状態で、遊びというよりアルバイトみたいなものだった。

 

 

この人も「会社では俺のことをみんなちやほやして、まともに扱ってくれへんのよ」とゆうてたな。

 


2024-05-11 12:55:00

先日朝日新聞に、もとタイガースの能見篤史がファンのヤジについて書いていた。

 

自身の経験として、打たれて降板する際に、実に汚い、生き死にに関係するような心ないヤジを浴びせかけられて、ショックを受けたという。

 

 

能見は「ファンの方はお金を払って見に来てくれている」「不甲斐ない結果だった時に言われる」と書いてはいるが、結局こういう言葉は選手のやる気を殺いでしまう逆効果になるというのだ。

 

 

なるほど今はそういう時代なんだなあ。

 

能見については確かに素晴らしいピッチャーであり、たくさん勝利に貢献している。

 

その上で例えば、ジャイアンツとの開幕戦に先発して10点取られて降板するというような、腹立たしいとしか表現しようのない体たらくも目撃している。

 

 

そういった時に罵声を浴びせかけられるのは仕方がないと思うのだ。

 

 

だって単に野球してるだけで、何千万とか億の金が貰えるわけなんだから、われわれの日常とは全く別の話だ。

 

 

野球選手だとかタレントだとか芸人をありがたがる風潮が不思議なのだ。

 

 

そんな連中はまともでもないし、むしろ、嘲笑の対象ではないのか。

 

 

ごく普通に仕事をし、トラックを運転し、農作業をし、スーパーや店で品物を売る、これこそがまともな人間のやることだ。

 

 

野球選手や芸人はそもそもそれをやる能力がなく、非常識なことをやっているから、ああいう高給をはんでいるのだろうと思う。

 

 

山本夏彦が言っていた話なんだが、まったくその通りだと思う。

 

 

能見の発言はこの健全な、そして伝統的な価値観を破壊しようとするもので、俺は認めない。

 


2024-05-10 12:39:00

昨日は阪急で西宮北口に行ってみた。

 

 

ここには南西に、ブックオフがあり、少し北の門戸厄神には古本市場があり、駅に隣接するアクタという商業施設には「二階洞」という古本屋がある。

 

 

春の移動期が終わり、古本屋には様々ないい本が集まっている。

 

 

西宮は金持ちがたくさん住んでいる場所でもあるし、関西学院大学や神戸女学院というちゃんとした大学もある。

 

だから、とりわけ目を引くような本があるのではないかと思ったわけだ。

 

 

西宮北口は、以前駅前にパチンコ屋が出来ようとした時、反対運動が起こって中止に追い込まれたことがあった。そこは今はコンビニになっている。

 

 

同じ西宮でも今津にはパチンコ屋があって、要するに自分の住んでいるところにはそういうギャンブルは持ち込ませたくない、でも別の場所なら楽しみたいというわけだ。

 

実に戦後のわが国の価値観を体現したみたいな街だよなあ。

 

 

そんなことはさておき、3つの古本屋の力量も見極めたいと思うのだ。

 

 

ブックオフが質、量ともに他を凌駕して独占しているのか、いや古本市場もそれなりにいい本を集めているのか、また古くからある二階洞も意外も、かなりいい線行っているかもしれない。

 

 

駅前で電動自転車をかって、早速古本市場から順に巡ってみた。(初めに二階洞に出向いたのだが、午後2時なのに、開けていなかったので、後回しにした)

 

 

さて古本市場はイオンのすぐ北側にあって、立地もいいのだが、普通の古本屋だったな。

 

本の量はかなりあるのだが、質的には俺の住んでいる門真にある古本市場と全然変わらない。

 

 

ただ集英社文庫の『Dr.スランプ 第4巻』があった。

 

これには、なぜだがよくわからないがいまだに重版されない、ジャンプコミックスの第7巻の大半が収録されているのだ。(あと2話は文庫の第3巻に収められている。)

 

 

次にブックオフに出向いた。

 

ここは量も大したものだが、質的にも非常に高いものを感じたな。

 

市井の古本屋が束になっても叶わない感じだな。

 

本だけでなくゲーム、家電、レコード、カード、楽器、ブランド品なんかも扱っていて、客にしてみたら「こうてくれはるやも知れんから、持っていてみよかな」と思うんだろう。

 

 

アクタにある二階洞にも4時くらいにいってみたら、今度は開いていて、たくさんの文庫本、いくらかな詩歌の本、マンガなんかが所狭しと置いてあるが、質的には普通の感じだった。

 

 

 

 


2024-05-09 12:41:00

円安で外国人客が増加して、観光業者のみならず、様々な業種で売り上げが増えて結構なことだ。

 

 

先日友人の古本屋から、店に中国人の客が来た話を聞いた。

 

 

向こうの大学の先生で、武道関係の本や雑誌が欲しいということなのだが、日本語はペラペラで、こっちがスマホの翻訳アプリを使う必要はなかった。

 

 

その50がらみの先生はスマホを三台持っていて、一つは連絡用、もう一つは在庫を調べる用、最後の一つは値段をチェックする用なんだそうだ。

 

 

「ようさんこうてもうて、こんなことたんねますんは、失礼かと存じまっけど、別にシナでかて、この手の本はなんぼでも買える思いまんねやが…」

 

 

「いやね、それね、うちの国では日本のある手の本は買えないんです。まだ日本を敵視する考えがあるんです」

 

とのことだったそうだ。

 

 

いずれにせよ、現在の中国は繁栄を極めており、大学の研究室で使える費用は日本円で1000万にもなるとのことだから、素晴らしいことだな。

 


2024-05-08 12:42:00

不思議なことに、「Dr.スランプ」には下品な大阪弁がかなり出てくる。

 

 

第7巻だけでも、次のようになっている。

 

「やかまし やかまし やかましわー」(センベエ)

 

「じゃかあしいっ」(センベエ)

 

 

「かっこええで そこでみとれ」(鳥山明)

 

 

「なにが よろしおまんねん」(山吹先生風の店員)

 

 

「そういうこっちゃから」(センベエ)

 

「ほんまもんや ほんまもんのアホや」(コピーくん)

 

「えらいこっちゃ」(センベエ)(山吹先生)

 

「でけたっ‼️」(センベエ)

 

「なにしとるんじゃ」(アラレ)

 

「いってこましたれ‼️」(エイリアン)

 

「おまえのなんかほしないわ」(センベエ)

 

 

「ハヨセンカーイ」(タロウの父親)

 

「ソレ ナンヤネン」(タロウ)

 

「おんどれら またんかいーっ」(センベイ風のシンデレラ)

 

 

「キザなやっちゃな なにしとんねん 」「あほな」(ウルトラマン)

 

「ハラにアナあいとるんとちゃうけ」(犬)

 

「あたりまえやんけ なにかんがえとんねん」(犬)

 

 

「またんかい」(ヤーさん風の犬)

 

「どこに目ェつけてあるいとんねん!」(ヤーさん風の犬)

 

 

「ええどきょうしとるやんけ いまごろびびってもおそいで なかしたろかいっ‼️」(ヤーさん風の犬)

鳥山明は名古屋の出身だから、不思議だな。単行本に挟み込んである、幼い頃のエピソードでも、自分のセリフに大阪弁を使っていることがある。また「こます」という補助動詞の使い方など、今ではあまり使わない用法にも長けていて、驚かされる。

両親が大阪の出なのか、それとも下品な言葉遣いの時は大阪弁にするという、例の役割語みたいな感じなのだろうか。

 

 

 


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