Welcome

古本屋日誌

2018-08-16 10:42:00

昨日は六甲道に出かけて知り合いの古本屋さんとあれこれ話す機会がありました。

持ち込みで雑誌や本を売りにきてくれるお客さんは非常にありがたいのだが、雑誌の場合かなりマニアックなジャンル(例えばプロレスなどの格闘技)なら買い取るのが難しいし、よしんば引き取るにしても安い値段しかつけられないのだが、お客さんの方はこうた時の値段を考えてそれなりにはなると思っているし、アマゾンなどのネットのサイトで値段を調べていてそれくらいにはなるのちゃうか思てる。ところが店舗売りの古本屋はそういうプレミア的な価格は基本的にはつけない、全てその本の値段以下に設定する。というのもプレミア価格で例えば3000円付けたとして、相場を知ってる客やマニアは確かに買うだろうが、普通のお客さんは高値を敬遠して買わないし、もうきてくれなくなる、それだったら価格は300円に設定して10人のお客さんに一冊ずつこうてもらうほうが店としてはありがたい。

私も基本的にはこの考えです。いい本をたくさん仕入れて安い値段で売った方が回転も早いし、お客さんも嬉しいだろうし、本も読んでもらえるから喜んでる思うわけです。


2018-08-15 10:31:00

昨日は気温が低うて寝苦しいことはありませんでした。萱島では昼くらいに夕立が来たようです。大阪の古本屋さんと話す機会があり、その方は下鴨などの古本市にも出店されてるんですが「会期中に夕立が来ることが多うて、かなんねやわ。うちとこは知り合いの古本屋と合わせたブースで出してんねんけど急な雨やったら、シートをかけに回る人手がおれへんさかい、しゃーないから泣く泣くうちんとこの本にシートをかけるのは後回しにして先ずは知り合いの棚にかけて回るんやわ。お客さんでてっとてくれる人もいはんねやけど、積んである本を落とすまいとおっかなびっくりな手つきやさかいになかなかかけられへんねやわ、あんなもんは落としたかてかまへんねんからちゃっちゃとやってまわなあかんねん、まあそないなことは言われへんけどな」と言う。まあ私には何れにしても謎の世界ですな。よく古本市でゴルゴ13みたいなバカがいますよね。お気に入りの本を手にして立ち読みしてたり、あれこれ棚を物色していたりして、そこは別の客が来ておんなし棚を探し始めると、さも自分の領域を侵されたとでも言いたげに新たな客をじっと見て来る人のことなんですが、不思議だ。

秦郁彦の「実証史学への道」が出ました。東大法学部を出て大蔵省に入って、なぜか退職して歴史学者となる半生を細かくのべ、合わせて東京裁判の被告たちを訪ねてインタビューした記録を収めている労作です。筆者が何度も筆禍に遭遇している件も興味深いところで1976年に「昭和財政史」という本を出そうとしたら上司の佐上官房審議官から、国の刊行物としては不適切で、共産党からつつかれるかもしれないので、直すとなり、大幅なカットや天皇制は使うなとか朝日新聞からの引用が多すぎるとかのいちゃもんがついて、腹を立てた秦郁彦は大蔵省を去りました。言論を封殺しようとした相手の名前がちゃんと出てるのが清々しくていいですね、でもそんなもん当たり前のことなんですけどね。


2018-08-14 09:45:00

昨日は風があってわりと過ごし良い晩でした。昼間は京都に仕事で出向いて午後2時くらいにいのかな思てたら次第に黒雲が空を覆い始め、雷鳴のような鈍い音が轟きやがて沛然たる雨となり雷もゴロゴロ、お客さんのところで降り込められました。まあ夕立はつきもののようなもんですが1時間くらい続き、お客さんの話では「きんのもおんなし時間にきよったんやわ、家の前が川みたいになってしもてな、今日ももうあんばいあんたのおるとこから水が出て滝みたいになりよるで」とのことでしたので早々に退散しました。晩のニュースではいつも通り八王子でゲリラ豪雨があっただの、都内のどこかでえらい夕立やとか、雷の東京での発生件数がえらい多かったですだのといったなんの意味もないゴミニュースで、改めてテレビはなんの意味もないことがわかりました。

先日NHKで「夕凪の街 桜の国」のドラマが放送となり常盤貴子がなかなかうまい演技をしてました。原爆を扱った小説や漫画はくだらないものばかりで読み直す価値などありません。例えば林京子の「祭りの場 ギヤマンビードロ」などはよく古本屋に持ち込まれるのですが、さっぱり売れませんな、全然面白くないからです。井伏の「黒い雨」太田治子のやつもどれもこれもデタラメで読むに耐えません。そもそも原爆枠のようなものがあって適当に無難なものを書くことが商売として求められているから、商売人として作家が書いてるだけだからです。このこうの史代の漫画はかなり踏み込んだ書き方をしていてその点は評価できる。

原爆の災禍で家の下敷きになり苦しむ友人知人を「すぐに人を呼んでくるから」と騙して逃げてしまった辛い思い出がフラッシュバックしてきて「自分のようなものが幸せになってはいけない」と考えるようになったり、自分はダメな人間だから生き残ったんだ、いい人はみんな死んでしまったとかおもうようになる。これはこうの史代の考え出したことではなく永井の「長崎の鐘」でしばしば述べられている話です、それにしても改めて作品化した功績はあります。とはいうものの、漠然と友人を見殺しにしたと書くのではなくもっときちんと書いてもらいたい。だいたい人間なんて追い詰められたらなんでもするもんでしょう。「日本残酷物語」には三河の貧しい漁村の連中が沖合を航行する船を襲撃して皆殺しにして積み荷を分捕って神様からの授かりものだとして喜ぶ話があります。それくらいの悪事は当たり前でしょう。何か聖人君子みたいなことを前提で話を進められても納得できないな。ハリウッド映画の「パットン」には将軍が野戦病院を視察するシーンがあって、精神的に参って休養している軍人に怒りを爆発させるシーンやラストには戦争が勝利で終わったから即座にモスクワに進撃しょうと演説する場面があります。またトムクルーズが弁護士役で活躍する「アヒューグッドメン」で自ら暴力行為の命令を出したと公言する将軍のような話が全然出てこないのは不思議だ。日本の軍人の描き方はいつもバカか誇大妄想狂みたいなやつばっかりで本当にがっかりさせられる。


2018-08-13 09:25:00

昨日は初めて比叡山に登りました。京阪の比叡山巡拝チケットを使いあわよくば坂本に降り立って日吉大社や石山寺に行きたいともくろみましたが、出たのが9時過ぎだったので坂本ケーブルで滋賀に行くのはかないませんでした。高野山と違い観光地化されておらず、山あいに東塔、西塔、横川の寺院群が点在するスタイルで、食べ物屋もあまりなく、土産物屋も数える程でした。根本中堂は国宝で現在の覆いを上からかぶせて修復中でしたが、見学はできておじゅっさんの話では徳川家光の命で1630年ごろに建てられたそうで総欅造りで、巨木を全国の大名に持ってこさせ、牛や馬は入るのを禁じられているので人の手で山頂まで引き上げたのだとのことでした。

西塔の釈迦堂で20分くらいお寺の方から由緒や来歴の説明があり、450年前の信長の焼き打ちのために三千あった堂塔はことごとく燃え尽き、また巨木群も灰となったので樹齢450年を越す木はないという。現在根本中堂が修理中であと8年したら完成するがそのあとはこの釈迦堂の修理にかかる予定で釈迦堂は700年前の建築でもともとは三井寺にあったものを移築したものでその際冬の降雪に備えて屋根の傾きを大きする補修を施したが故に現在も国宝にはならず、重要文化財のままなんだが、八年後には国宝に指定されるだろう。とうは薬師如来をお祀りしていて、病に苦しむ生身の人間を救う、西塔は釈迦如来で人の過去を司り、対して横川は観音菩薩で未来で三ヶ所回ることで比叡山に参ったことになる。という話でした。

まあもう、450年も経ったら信長の所業への怒りもないわけだし、逆に焼き打ちのことは大河ドラマにしても何にしても人口に膾炙していて、みんな知ってるわけだから信長さまを懲らしめるイベントとか焼き打ちの証拠はココだ!とかのイベントをやったらいいのになあ。私は小さいとき大河の「国取り物語」を見て高橋英樹扮する信長さまが馬にお乗りになりまして坂本から叡山に駆け上がり焼き打ちの指揮を取っておられるところに近藤正臣扮する明智光秀が伏し拝んで神仏を破壊する無謀を説いたところ信長さまは「光秀、教えてやろう、あれは木とかねでできとるんやど」と心底不思議そうにゆうシーンで感動しました。

前に高野山に参拝したとき話をしてくれたおっさんは「比叡山は全山焼き打ちにあい、一堂残らず焼け落ちたとかゆうてるけど、発掘したらそういう焼けた地層がでてけーへんねん、不思議やな」とゆうてました。

 


2018-08-12 10:57:00

昨日の晩はかなり気温も高うて、風は少なめで寝苦しかった、晩がたにはにわか雨も来たが量が大したことはなく涼を感じるには程遠いものだった。

昨日は初めて上賀茂神社に参拝したが、高野山同様先が三本に別れた松がたくさんあった。法然院でもそれは見たのだが、上賀茂神社では特段名物になっている感じはなかった。600円を支払い宮司から神社の由来の話を聞きお祓いをしてもらう。例の丹塗矢の伝説だが三輪山と同じような話だし、三輪山のに比べるとあまりエロくはないので宮司も話しやすそうだった。ただ宮司の水干のような服の袖が破れていてなんかアンバランスな感じだった。本殿の前には獅子と狛犬が鎮座したいるのだが金と銀に彩色してあり、橋本治の「桃尻語訳 枕草子」には御所の生活として寝所には獅子と狛犬が魔除けで置いてあると丁寧なイラスト付きで紹介してあったので、この時代はどこにでも置いていたのだろう。


1 2 3 4 5 6 7