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古本屋日誌

2022-02-10 17:14:00

今日は神戸のお客さんのところに買い取りに出向いた。

 

澁澤龍彦の元の嫁の矢田澄子が児童文学者の岡野薫子にあてた献呈サインに丁寧な手紙まで入った晶文社の本を見た。

 

日付は1990年になっていて龍彦が死んで3年後だよなあ。

 

矢川澄子は死の直前に、龍彦を見舞って別れ際に彼を呼びとめて

 

「お兄ちゃん❗️」と呼んだという話は有名だ。

 

子どもができても何度も中絶していたというところからしてもかなり変わった夫婦だよなあ。なんで避妊しないんだろう。

やってることの意味がわからない。

 

さらに矢川澄子はだいぶ後だけど、自宅で首をくくって死んでしまいましたよね、てなことをおしゃべりしていたら

「じゃあ、あんたにやるわ〜」と売っていただけた。

 


2022-02-09 12:04:00

今日天満橋のジュンク堂に出向いて、西村賢太の本を探してみた。

 

単行本で本の雑誌社から出ている「一私小説書きの日乗」の最新刊があっただけで、文庫本なんか一冊もない。

 

角川文庫や講談社文庫、幻冬社からも出ていたのに見当たらないのだ。

 

大きな書店では著名な作家が亡くなった際には「追悼コーナー」が設けられて主な著作が目立つように表紙が客の視線に触れるように展示する。

しかしそもそも天満橋店には展示すべき西村の本がないから、追悼コーナーも作りようがない。

ではと天満橋の古本屋を訪ねてみた。

 

南から旅行の本を扱うファロッサ書院、さまざまな本が積み重ねてある駄楽屋にはない。

 

 

では天牛書店ではどうかと目を皿のように探してみたが見つからない。

 

 

近くにある文学書を専門に扱う矢野書房はどうかと隈なく探してはみたがただの一冊も見当たらない。

 

 

栞書房もやはりない。それではと日本一の古本やである「ブックオフ 難波戎橋店」も訪ねてみた。

 

しかしここにも単行本、文庫本とも一冊まで見当たらないのだ。

 

やはり西村賢太の班はこのところあまり売れていなったのだ。

 

それが本人のストレスが担っていたのかもしれない。

Amazonで文庫本を調べてみたら角川文庫は在庫ありになっているのがかなりある。

これはもともと在庫があったのかもしれないが、亡くなってから重版したのかもしれない。

西村賢太がよく書いていたが、角川文庫なら小ロットで重版をかけるシステムがあるそうなので、これは亡くなってから入手できるようになったのかもしれない。

 

 

 


2022-02-08 13:02:00

石原慎太郎が亡くなり古書価が急騰している作品がある。

 

もともと彼の作品は今では大半が品切れで新刊の本屋には並んでいない。

 

では「ブックオフ」にあるかというと入荷が少なくほとんど目にしない。

 

芥川賞の「太陽の季節」は新潮文庫と角川文庫から出ていたが、ともに品切れで、新潮文庫の方は1500円くらいする。

 

文春文庫の「国家なる幻影、上、下」は慎太郎の政治生活の自伝で裏話も面白く、以前から人気があったが、このところとくに急騰している。

 

西村賢太もあれだけ単著を出しているのに、今新刊書店で入手できる本はほとんどない。

 

本の雑誌から出ている「一私小説書きの日乗 堅忍の章」くらいだろう。文庫本も品切ればかりだ。

 

この辺は自信家であった西村を深く傷つけたのではなかろうか。

 

さっきあげた「一私小説書きの日乗」には師と仰ぐ藤澤清造の新潮文庫「根津権現裏」が品切れになってしまい、なんとか発刊させようと骨を折る話が出ている。

 

平成30年11月6日の下りだ。

 

「午前11時半起床。入浴。

夕方富士見町ー即ちKADOKAWAから朗報ー即ち『藤澤清造短篇集』復刊の了承来たる。万々歳。

この初夏から続けてきた折衝の良結果については、謙譲の美徳なぞを抜きで云う。

偏に自分の執念の賜物である。前回の新潮文庫版ではみすみす品切れ絶版の流れに手を拱いてしまったが、雪辱を果たした。これで師にも顔向けできよう。

嬉しさで、その後は何も手につかぬ状態からとなり、早々に晩酌。師の位牌(菩提寺から預からせて頂いている、オフィシャルのもの)と遺影を前に祝杯。」

 

 

これだけ師匠の著書に手を尽くしてヤキモキしているのだから、自分の本の売れ行きや評価にも無関心ではおれなかったろう。

 

そこがストレスとなって、出版社の担当者の「無理解」「物を見る目の無さ」が気に障りストレスが増すことになったのではないだろうか。


2022-02-07 12:07:00

西村賢太は「本の雑誌」に「一私小説書きの日乗」と題する日記を連載していた。何冊か既に単行本になっているし、文庫になってるのもある。

 

最新刊は去年の3月に出た「堅忍の章」だ。この本は平成30年から令和2年の6月あたりまでだ。

 

 

ほぼ毎日、起床時間からサウナの時間、仕事の詳細、酒や肴の種類、買淫とその感想まで綴っているのだが、驚くのはぜんぜん運動や身体を動かすことをしていないことなのだ。

 

例えば平成30年10月3日の条は次のようになっている。

 

「午後2時起床。入浴。のち、2時間弱サウナ。ラーメン屋でソース焼きそばと野菜スープを食して帰室後、暫時横臥。腰のスジを伸ばす。

深更一時より、食卓上にて『新起の章』ゲラ。明け方五時半から晩酌。

缶ビール一本、宝を水割りで三分の一本。

目玉焼き二個と、冷蔵庫の壜詰め各種。

最後に六枚切りの食パンをトーストにして二枚。」

となっているわけだ。サウナに2時間弱も入ってるけど心臓や体に負担がかかるだけで適切な運動といえるしろものではない。

 

昼夜も逆転しているし、栄養バランスもよろしくない。

実は西村は決して医者嫌いではない。持病の腰痛では何度も医者に見せているし、2020年の春には舌の痛みがなかなか引かなくなった。

これは舌の癌ではないかと疑いきちんと受診してその疑いを晴らしている。

だから今回の死は本当に青天の霹靂だったのだろう、

 


2022-02-06 17:07:00

西村賢太は朝の6時半に死亡が確認されている。飲んでタクシーに乗り気分が悪くなって、気づいた運転手が病院に搬送したが助からなかったのだ。

 

ナンシー関の時も仲間でお好み焼きを食べてお開きとなり一人でタクシーに乗って意識不明となって、運転手が交番に駆け込んだ。

 

西村の場合はヘルスか何かの帰りかもしれないけど、いずれにしても楽しいひとときを過ごして解放感に浸っている帰途、自宅ではなく天国に召されることになったのだ。

 

タクシーに乗っている人は、一仕事終えてほっとして、さて家まで帰りましょう❗️もうやらなあかんことなど何にもないよ❗️というくつろいだ精神状態だろう。

 

よくモーレツリーマンが退社して暇になったらころっと逝ってしまうという話がある。趣味もないし、会社抜きに付き合える友人もいない、生きる気力もなくなるという話だ。

 

他にも家の階段から足を踏み外して死んでしまう人もたくさんいる。

 

会社や駅の階段なら緊張もしているし、人目もあるから安心し切ってはいない。ところが自宅で誰憚ることもなく過ごせるとなると気が緩みっぱなしになるのだろう。

 

風呂で倒れて死ぬ人があとをたたないのもよく知られている。

 

一日終えてホッとしてて、酒もきこしめして最後に風呂でくつろぐ、それはもう気分は緩みきってますな。

 

正月に餅を詰まらせて死ぬ人もいる。正月気分に浮かれておとそも手伝って警戒心はない。

安心してしまうと人は死にやすくなる!さりとて緊張ばかりではまた命を縮める。

まず一仕事終えて酒をたらふく飲み、タバコも飲んで、自宅までゆったりタクシーに乗り自宅の階段を上がって2階にある風呂に浸かり、出てからは餅をパクつくてなことを毎日していたらそのうち、どこかの工程で突然死んでしまうことができそうだ。

 


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