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古本屋日誌

2022-02-16 12:10:00

5時過ぎにまた熊野寮の受付に出向いて

「5時に寮自治会の委員長に会う約束で来ました。日能研労働組合のものですが」と居合わせた女に案内を乞うた。

しかし連絡がついておらなくて

「…………」と沈黙のまま睨みつけられる。

仕方ないのでまた名刺を出して「委員会の人にな、ちょっと頼みたいことあるんや、さっき来たらおらなんださかい、5時やったら帰ってる言われたんやけどな」てな話をしてようやく食堂に案内された。

 

文学部の学生だという委員長に自分は元寮生で、今は日能研関西で働いているのだが、その塾で60なると年収が6割に下げられてしまう、そこで神戸地裁に訴訟を提起したんだが裁判費用がかかる、ついては学生にいらない本を売ってもらえるよう呼びかけてはもらえないか❓と話をしてみた。

 

また趣旨を書いたビラも手渡した。

 

ビラには裁判の趣旨に加えて、不要な本を売ってもらいたいとの話、連絡先はここですと携帯番号も記しておいた。

 

「あーなるほど、それは確かに困りますね。持ってこられたビラをこの食堂に貼っておきますわ」

寮の食堂の壁にはさまざまなチラシやビラが所狭しと貼られている。

そんなところにまた一枚貼ってもらったところで誰も見ないだろうし、意味があるとも思えない。

「文学部の学友会でおんなじ話をしてはもらえないかな❓文学部の学生やったらいろいろ本を読んでいるやろうし、不要になったのもある思うねんけど」

と粘ってみた。

「ちょっと考えてみます」との返事だった。

さて結局この話の結末だが熊野寮に出向いてから一年にはなるが電話や問い合わせは全くなかったね。ただの一本も。

学生も忙しいし、興味のないことに割く時間などないということだよな。

 

 


2022-02-14 15:50:00

以前中学受験の進学塾の日能研関西の裁判があった。

 

この塾の非常勤の社会の先生が60才になって雇用延長となったのだが、時給が8割、担当時間数も減らされて結局年収では6割くらいになってしまった。

 

講師は授業だけ担当する仕事だから雇用延長となっても行うと業務はなんら変わらない、それにもかかわらず時給が減らされるのは不当だと神戸地方裁判所に日能研関西を訴えたのだ。

 

この裁判は神戸地裁では「下がった時給にサインしているから、同意したものと考えられる」などという理由で認められなかった。

 

裁判官てバカだよなあ、同意してないから訴えてるわけだから判決はそもそも、理由になっていない。

 

そのあと大阪高裁では和解となり時給を上乗せすることで決着した。

 

その過程で裁判費用がかかる(依頼した弁護士には手付金で20万くらいは払っている)し、それを賄うのに本を学生から買い取って販売するのはどうかと私が思い立った。

 

学生が本を売ってくれるかわからないが、うまくいけばうちの古本屋の利益にもつながるかもしれないなどという下品な思いつきもあった。

 

それで学生時代に住んでいた京都大学の熊野寮に出向くことにした。

 

 

学生寮に住んでいる学生は輪をかけて勉強はしない。これは昔からそうだった。

 

元から悪い頭がますます鈍磨し、酒ぴたりで麻痺してくるものだ。

 

それでも元の寮生だと通じれば話は聞いてくれるだろうし、以前日能研関西の労働組合の委員長が呼ばれて熊野寮で、講演をしたこともあるのだ。この委員長も元寮生なわけだ。

 

その辺りの繋がりからとりあえず頼んでみることにした。

 

突然行っても怪しまれるから日能研関西の労働組合の副委員長の名刺を持って行って(これはデタラメではありません、実際そうなんです)

案内を乞うた。

玄関の横に事務室があるのでそこにいる学生に名刺を差し出して

「委員会の人に会いたいんやけどな、俺はもともとここの寮生だったものなんや。」

館内放送で呼び出してもらったが折悪しく不在で、

「確か5時には寮に戻るゆうてましたわ」

との話があったので、またその時分にお邪魔することにして一旦近所の茶店に入って時間を潰した。

 


2022-02-14 00:15:00

このところの通販の隆盛で古本業界も変革を迫られている。

 

Amazonのサイトで出品している古本屋は丁寧に本の状態を説明している店と旧態依然、ほとんどコンディションを書かない店とに分かれている。

 

細かい店になると

 

「昭和52年の初版です。カバーと帯があります。帯は切れ目もなくいい状態です。カバーの背にすこしくすみがあるほか、小口には少し焼けがあります。また扉のページとその後の15ページ分に右端に1センチばかりの折れ目やクセがついています」などと書いている。

 

そうかと思えばまったくおんなじ本でなんだが状態は「可」としてあと一切コンディション説明をしてない古本屋もある。

 

 

以前は一部の文学書を除いては細かい状態の説明はしていなかった。

 

書き込みの有無なんかも、店主が言うには「そんなもん古本なんだから書き込みやら線引きやらあっても当たり前だろう。読めたらええやん」てな感じだった。

 

ところが今はそれでは売れ行きは芳しくない時代となった。

 

ある程度丁寧に状態を説明することが求められて、それを行ってる本屋の方が売れ行きはいい。

 


2022-02-12 11:59:00

こないだ川端二条の「中井書房」に出向いたが、レジのところに京都大学の吉田寮が出しているパンフが置いてあった。

 

吉田寮は大学から明け渡しを求められて係争中だ。確か2015年に完成した新館も含めて退寮を求められているとのことだったはずだ。

できたばかりの建物からも出て行け❗️というのはよほどの事情があるのかもしれない。

 

中で爆弾を作っていたとか、反体制運動の拠点だとか、まあどう考えてもそんなことはないだろうけどな。

 

そのあたりをパンフから読み取りたいと思い、早速読んでみた。

 

中身なんだが、明け渡し裁判の日程は載っているが、それ以外に大衆にアピールするものとしては吉田寮の建物が築100年以上の歴史をもつこと、寮の中に作った畑でいろんな野菜を栽培して本部時計台前のテントで販売していること、寮の食堂で催しができることが書かれているだけで拍子抜けした。

 

建物が古いことに興味を持つのは近代建築の趣味がある人だけだし、野菜の話は天下の京大で毛色の変わったことをしていますというよくあるマスコミ受けするパターンをなぞっているだけの戯言にしか思えない。

 

もともと社会とは接点も何もない学生風情が大衆にアピールすることは原理的に無理だ。

 

でも一応頭がいいことになっている京大の学生なら洒落でもなんでも社会にアピールできる切り口を用意しているかと思いきや、そんなものはかけらもない。

やはりバカはどうしょうもないな。

 


2022-02-11 11:25:00

今日から京都古書会館で古本市だ。

ここは裁判所の少し南にあるのだが、大阪のそれ同様エレベーターも備えた立派な建物だ。

 

以前に比べて普通の本が多く出品されている。以前は浪花百景の浮世絵とか古文書なんかが中心で、私など近寄りがたかった。

 

そういえば以前の神田の古本屋は本の状態をほとんど書いていなかったよなあ。

「日本戯曲全集 34巻 850円」で終わりだ。このシリーズには箱がついているのだが、買う方としては箱があるのか気になる。それで電話でその古本屋に聞いてみたことがある。

「箱のないような本は取り扱いしてません」だった。

「じゃあ塩梅書いといてぇな、わからへんやんか」と言ってみたけど

「お客さん❗️その一行に心を込めて、説明をわしらは書いてるんです、読み取って欲しいですな」てなことをいうんだからバカではないかと思ったけどね。

この短い説明をどう読んだらコンディションがわかるというのだろう。

つまり以前の古本屋商売はいい加減だったのだ。

それはさておき、西村賢太の本はまだ新刊書店にあるかも知れない。

大型書店は本の量も多いし、担当者の趣味や技量で発注する本も決められるだろうから、賢太好きな文芸担当なら前もってたくさん仕入れてストックしている可能性もある。

 

そこでジュンク堂三宮本店に出向いてみた。

「現代文学」の棚を探してみると、西村賢太の本は新潮文庫の「苦役列車」が数冊カバーが見えるように棚に横向きに置いてあるほか、文春文庫の「小銭をかぞえる」も数冊、こっちは背表紙が見える形で並べてある。

 

それ以外にも最近出た単行本が2冊置いてあった。

この間MARUZEN-ジュンク堂京都店に出向いて現代文学の棚を見たら、本の雑誌社の「一私小説書きの日乗」しか置いてなかったのと比べたら、大違いだ。

やはり文芸担当の力の差だと思うな。

 


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