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古本屋日誌

2023-05-13 13:27:00

昨日は甲子園で、スワローズ戦を見た。

 

いつもは仕事をして、阪神電車の新在家から行くのだが、縁起を担いで、西宮北口から今津まで行って阪神電車に乗り換えた。

 

また前回は買取をした本をコインロッカーに入れず、わざわざ球場まで持ち込んで負けたから、今回は縁起は考えて全てコインロッカーに入れた。

 

さらに靴も前回はオレンジのスニーカーだったが、縁起かついで、それは処分して、新しくこうた黒いトラッキングシューズにした。

 

ズボンも前回の黒いのは、やめてあたらしくユニクロでこうたグレーのやつに変えた。

ということで、伊藤がいいピッチングで期待通り。

 

また案の定、佐藤は今回も全然打てず、とりわけ、最後2打席ともファーストゴロと無様だった。

 

 

コロナ騒ぎが終わり、声出しも解禁となり球場入り口では選手別の「応援歌」の歌詞カードが配られていた。

 

 

球場近くのイオンは改装工事中なんだが、ここの地下一階にはくまざわ書店があって、なかなか魅力的な品揃えだ。

 

 

単行本のセレクトがいい。

 

去年中央公論社から出た決定版の『私の昭和史』や最近の本では『ある行旅死亡人の物語』がある。

 

 

この本は共同通信の記者をしている武田惇志と伊藤亜衣のノンフィクションだ。

 

 

大阪の場末の、家賃が三万くらいのアパートから孤独死した70過ぎの婆さんが見つかった。

 

 

ところが、その部屋の金庫には3400万を超える現銀が残されていた。

 

さらに北朝鮮とのつながりを示すかもしれない星マークや暗号らしきものも見つかった。

 

婆さんは勤めていた工場で事故に遭い、右手の指を全て欠損したのに、労災の申請は辞退していたとか、歯医者に通うのも通常の保険診療ではなく、もぐりの保険の効かない医者に通っているなど不審な点も見られた。

 

 

著者はあれこれ身辺を探るのだが、結局北の工作員だともスパイだとも、なんといえない話になってしまう。

 

 

警察で事情を聞いても「この婆さんは75なんやろ、例えば40年、真面目に働いてな、毎年80万くらい、つまりな、毎月7万くらい貯金してたら、そんくらいなるやろ。家賃は安いとこなんやから出来へん話ちゃうわな。その程度の金があるのは何も不思議はないで」と言われてしまうのだ。

 

 

確かに警察のゆうのもわからんではないけど、それは単に3400を40で割り算してるだけで、そんな上手いこと人生というものは運びませんよね。


2023-05-10 11:29:00

齢60を越えていろいろ身体にも不具合が出てくる。

 

 

5年前の夏には目の前に黒い輪っかみたいなものが出てきて、目を動かすと、その輪っかも動くのだ。

 

 

早速の阪急電車の高槻市駅前の眼科を受診して(その日は高槻で仕事があったのだ)、症状を訴えたら眼底検査検査をされて「ちょっと出血して、それが黒く映ってる、様子を見ましょう」とのことで、しばらくしたら黒い輪っかは吸収されて見えなくなった。

 

 

しかし、昨日の朝また左目に同じ症状が出て、今度は萱島駅前の岡崎眼科を受診した。

 

 

再び眼底検査をはじめ、30分以上かけて両目ともいろんな検査を受けた。

 

眼底検査は瞳孔を散大させる目薬を指してから行うのだが、検査後4、5時間は瞳孔が開きっぱなしで、世界全体が明るすぎる白い光に覆われてしまう。

 

 

さて、先生のお話では、「黒いやつは出血ですけど、しばらく様子を見たら吸収されます。

 

また視野が少しボーっとしてるのは、眼球に濁りが出てるからで、これは老化によるものです、仕方ないです。

 

その上で緑内障の視野検査を受けませんか❓

緑内障だと分かったら、治療も始められる、といっても眼薬つけるだけで、大丈夫です、進行したらレーザーとか手術とかもあります」とのことで、来週検査を受けることにした。


2023-05-09 12:41:00

著名な作家であろうと、たくさんの駄作を書いている。

 

 

一旦ファンが付いたら、出来不出来に関わらず、必ずこうてくれるから、世の中とは何と甘いものだろうか。

 

 

天才作家ですら、駄作を書いてしまう。

 

 

大江健三郎の『燃えあがる緑の木』はそれだ。

 

 

この作品は全三部にわたる長編で、四国の山の中の宗教団体の話だ。

 

学生運動家崩れのギー兄さんが、実家のある四国の田舎に帰りそこで、病人を治す奇跡を起こしたのだが、治らないで死んでしまった子供もいた。

 

 

そのため、怒り狂った村人にギー兄さんは襲われて傷つく。

 

しかし、その後ギー兄さんを信じる人たちが集まり教団となり、徐々に拡大していくのだが、信徒から教義の明確化を求められたりする。

 

 

さらに教祖のギー兄さんが説教を続けられずへたり込んでしまうのをみて、古くからの信徒が失望して離れていってしまう。

 

 

こういうストーリーを読むと、そのどれ一つをとっても宗教や教団のリアリティに即しているとは到底思えない。

 

 

教団は大江健三郎が書くような合理的なものだったり、この世の価値観で測れるようなものではない。

 

 

病の子は死んだのではなく、救われたのだと考えるのが教団というものであるし、信徒だろう。

 

教祖に教義の明確化を求める教団関係者など考えること自体が滑稽だ。そんな人はいるわけがない。

 

何故教祖と信徒が平等なんだろうか、そんなことがあるわけがない。

 

教祖は単なる先生とか指導者なのか?そんなわけなかろう。

 

合理的な判断があるならばサリンを、地下鉄に撒けと言われて撒くだろうか。そんな世界でないからこそ意味があるのだ。

 

 

教祖が説教出来ずにへたり込んだのを見て、がっかりして教団を離れるなどバカバカしい。

 

そんなことがあるわけがない。

 

このシーンは会社のプレゼンでしくじった社員を見捨てる管理職とおんなじで、それこそ日常生活の理屈でしかない。

 

 

さらに滑稽なのは稼働する原子力発電所に向かってギー兄さんと多くの信徒が行進するシーンだ。

 

 

原発の前で教祖と信徒は「集中」というお祈りを捧げる。すると2機の原発が事故を起こして停止することになる。

 

ありえないような話だが、ブン屋から因果関係の説明を求められて、ギー兄さんは「結果が曖昧でない祈りなどというものがありますか」と答える。

 

 

つまり「集中」という原発を止めるための祈りなどというものは、曖昧な結果しか持たない程度のものだと自らの行為を否定する発言をしたのだ。

 

 

世俗の新聞記者に、教祖がそんなことを言うだろうか❓

 

とうてい承服できない話だ。

 


2023-05-08 12:11:00

NHKで2009年に放送があった「100年インタビュー大江健三郎」の再放送があった。

 

 

大江はこの時長編小説『水死』を上梓したばかり、75になっていたが、かくしゃくとしていて、この小説のことから、文学観や社会との関わり、反核運動、故郷への想いなど多岐にわたる話をしていた。

 

 

大江は東大在学中に芥川賞を受け、その後も圧倒的なレベルの創作活動を続けた。

 

その原動力は渡辺一夫からフォークナー、サルトル、エリオット、ディケンズなどさまざまな優れた作家の作品を系統的に学び続けて、自分の作品に取り入れた旺盛な学習意欲にある。

 

 

大江はその点に関しては

 

「ぼくはたいした才能を持つ作家ではありません。普通の人間なんですね。

安部公房なんかね、やることなすことすべて天才で、斬新な視点を示していたよ、武満徹や伊丹十三なんかもそういう人で、僕はねそういう人の作るものから学んでいく形でしか創作活動は続けられない。

 

そうすることで天才の仕事の近いところに行けるのではとね。」という。

 

 

謙遜も含まれているだろうけれど、作家では安部公房を天才だというのはちょっとびっくりした。

 

 

安部の書くものはSFのような、何か寓意を孕んだような作品群なんだが、「砂の女」にせよ、よくわからない。

 

 

また例の凝った文体についての大江の発言も興味深い。

 

 

「初め東大新聞に出した『奇妙な仕事』なんかはノートに書いてあったのを映しただけ。

そのあと5年間くらい、小説家になって、自分が面白いと思った話をさらっと書いて、お酒を飲んでいる。

それをね、こんな怠け者ではいけないと思った」そうで、書き直しをしていろんなイメージを書き込むようになったのだという。

 

天才のお話はよくわからないよな。


2023-05-07 00:24:00

Amazonの商品には購入者が感想を書き込める機能があるよな。

 

 

俺は本しかそのレビューを見ないけど、⭐︎一つから五つまでの評価を付るだけでもいいし、さらに感想を書き加えることも出来て、とても便利だ。

 

 

そのレビューの中で比較文学者の小谷野敦のものは、全て本名で忌憚なき意見、感想が書き込んであってとりわけ面白かった。

 

 

ところがそのレビューが最近、全て削除されていて、見ることができなくなっている。

 

何か問題があったのかな。

 

 

小谷野敦がAmazonに書いたレビューはかなり前だけど、本になっているし、さらに第二弾が今月末に出版される予告もでているから、読みたいひとがかなりいることがわかる(俺もその一人だ)。

 

 


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