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古本屋日誌
2022-11-28 12:00:00
昭和33年から35年にかけて小学館が「図説日本文化地理大系」全18巻というシリーズを出した。
箱入りの大判で日本各地の風景や地質についてたくさんの写真を交えてまとめたものだ。
月報もついていて、60年をけみした今日では、資料的価値も高い。
その中の「兵庫、大阪」の巻の月報には今東光の「大阪人気質」が載っている。
「寝ても、さめても、金、金、金と金を追ひ回して暮らしている大阪人が女と美食に目が無いのは当然なのだ。
何となれば人間の本能にだけ生きる限り、彼等は美女と美食を購ふものは金だけだと諦観しているからだ。
従って大阪人一般の教養の低劣さは我慢がならない。
男がそのように低級だから、女もまた低脳が多い。
大阪で文化が育たないと言われる所以であらう。
大阪が世界の商都と称せられるには、大阪人がより知性と良識を発達させなければならない。
民度の低い商人の町は蚤の市とあまり大差はないのだ。」
今東光は天台宗のおっさんで、河内の寺の住持を務めていた。
例の「悪名」や「河内風土記」シリーズで、大阪の人情をあれこれ書いていたのだが、本音としては飽き足りないものがあったようだ。