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古本屋日誌

2020-02-26 09:48:00

22日に「小説新潮」3月号が発売、坪内祐三の追悼文があれこれ載っている。

重松清は「評論」と題した追悼文を書いている。

その中で印象的だったのは坪内が自分のことを「電信柱がなくなって困っている子犬」だと例えていた話だ。坪内は確かに保守の論客なんだが随分過激な発言もあった。それは今まで生活の一部であったものが奪われてしまうことへの生理的な嫌悪感や怒りにもとづくものだった。

重松清は早稲田大学を出て角川書店に入り、すぐに頭角を現して「野性時代」の編集長も務めたのだが、何が不満だったのかあっさり退社して作家となった、なかなかやんちゃな一癖も二癖もある人物だ。

その重松が初めて坪内の本の書評を書いてビクビクしていたら、受賞パーティで出くわして「あの書評、読んだよ〜〜」と言ってもらえて「なんとか合格点をもらえたかな」と子どものように喜んで書いていたのが面白かった。