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古本屋日誌

2018-09-27 10:51:00

昨晩も雨がしとしと降り続き、地べたはじっとりしてましたので猫も外出には及び腰でした。

先日お客さんから買い取った本を点検していたら初めから終わりまでびっしり鉛筆の線引きがあることに気がつきました。最初は消そうかとも思いましたが、あまりにも面倒なので処分することにしました。

このところもお客さんから色々探し物を頼まれます。例えば中公文庫の「檀流クッキング」がなかなか見当たらないというのです。なんでも美食家でもあり漁色家でもあった檀一雄が放浪先であれこれ蓄えた蘊蓄を惜しみなく開陳している傑作なんだそうで、「どうしても見つからないんや」とのことです。またサンリオSF文庫の「PKディック短編集」が10年らい探しているのだが見当たらないという。

なんかお客さんの言っている意味がよくわからないんですね。どちらの本もネットで検索したら一秒もかからずに見つかりますからね。それに非常に安い。

ネットとかでこうたり探したりするのが嫌いだとか、やはり本は本屋で買いたいという考えなんでしょうかね。私にはよくわからない考え方ではあります。もちろんお客さまにはたちどころにご用意申し上げ、喜んでいただきました。

車谷長吉の文春文庫「金輪際」が手に入りました。なかなか面白い本なので是非お買い求めください。表題作の「金輪際」は著者の小学生時代の思い出で東京から姫路に宿替してきたよくできる澤田くんの話です。頭も良く、スポーツもこなし、はなからリーダー格のような子で車谷は圧倒されるのですが、ある日澤田くんの家に招かれる、一緒に宿題しょうというわけで、車谷は喜び勇んで駆けつけるのですが、もう1人武内くんという子も招かれていて、遅れてきたその子と澤田くんは仲良く塾の宿題をやり始めるのです。車谷は当然塾なんかかよてませんから、2人のやっている課題はチンプンカンプンでおまけに澤田くんから「君、もう帰ったら」と言われてしまうのです。どうも澤田くんは武内くんと示し合わせて車谷をいびろうという魂胆のようでした。

てな具合に金輪際会いたくはない友人の話が綴られていてなかなか読ませます。