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古本屋日誌

2018-06-30 11:26:00

昨日の晩はかなり強い雨が降ったり止んだりで、暑さも軽減されましたが今朝は打って変わって日差しが強うてとても蒸し暑い。例によってメス猫がアブラムシを襲って動かないようにしてありました。

気鋭のルポライター安田峰俊が角川書店から「8964」を出しました。中国の民主化運動を人民解放軍が武力で鎮圧した天安門事件の当事者に20年以上経てインタビューしてその歴史的な意味を探ろうとした労作です。以前文藝春秋から野村旗守らが「中国は崩壊しない」を上梓して中国は伝統的に帝国であり、王様に政治を委ねてその元で暮らしていくスタイルが大衆にはちょうど良く感じられるので、いわゆる民主主義は根付かない。現在の共産党の体制も毛沢東とまり伝統的な帝王への大衆の不思議な讃仰がやまないことには根本的な変革などあり得ないという内容で、非常に説得力がありました。今はさすがにあまり目にしませんがいっときはやれ中国は3年後には崩壊するだの、中国経済の危機はすでに沸点を超えているだのというゴミ本がばかりでしたのでこの野村の本は教えられることも多かったです。

さて安田の本ですが、天安門事件当時の学生たちが確乎たる政治的な展望や路線を持ってはいなかったこと、欧米の民主主義なるものに憧れを抱いていたこと、1万人とも言われる死者が天安門に通じる道路での発砲で生じたこと、現在の経済成長でそれなりの余裕が大衆には生まれていて、またいわゆる民主化運動をしょうといパトスが沸く状況にはないことが様々な当事者の証言から明らかにされていきます。