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古本屋日誌

2024-05-03 10:48:00

今月5日まで、京都、大阪で大規模な古本市が開催中だ。

 

春先の移動期はお客さんが不要な本を処分する時期なので、古本屋は大忙しで、いい本もたくさん持っている。

 

 

その販売ルートは通販を使うのがもっとも利益が見込めることが明らかなので、おそらく基本的にどの本屋もAmazonやヤフオク、メルカリ、自社ホームページでの販売を手がけているわけだ。

 

 

従って古本市にはそういういい本は持ってくることが少ない。

 

 

いくら行列ができて、客が多いといっても、たかだか大阪、京都近辺のお客さんが来るだけだから、たかが知れている。

 

 

そのため例えばAmazonにいい本の在庫が積み上がり値崩れを起こすこともしばしば起こっている。

 

古本屋の店舗でも、大規模な古本市でも見られない本なのに、Amazonでは在庫が25冊もあって、値段も安いのだ。

 

将来的には古本市は文学書や骨董品、稀覯本と通販では扱いづらい時代小説やコンディションの悪い本ばかりになってしまうだろう。

 

 

 

文学書はコンディションにこだわるお客さんもたくさんいるので、実際に手に取ってみたいという要望が多いから、そもそも通販に馴染まない。

 

 

一枚刷や版画、画集、掛け軸といったものも同様だ。

 

 

 

しかしそれ以外の本はわざわざ古本市の会場にまで運んできて、本棚に並べて販売するというのは、ガソリン代やトラックといった資源の無駄遣いであるし、何より古本屋の労働力を搾取する前時代的な、時代遅れのやり方だろう。

 

今年の勧業館での古本市でも明らかにその兆候が感じられた。

 

 

文庫本について、非常にいいものは並んでおらず、普通のラインアップだったからだ。

 

これはお客さんには便利なことであるし、また古本屋にとってもとにかく素早く売れるわけだから、悪いことではない。