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暗い森を抜けたその先は、パプリカのトンネルでした。
パプリカはリンゴの味に似ています。
だからリンゴの様な苦労もします。
今年は干ばつの為、生長が遅く果実も小ぶりで、かつ栄養不足による尻腐れも多発してます。
また未熟な状態から赤く完熟するまでの間が長く、虫に食べられるので一般的には農薬が欠かせません。
研修時はハウスの中で栽培しましたが、去年一昨年と少しずつ露地栽培を試して「数打てば当たる農法、イケる!」で、今年は倍の作付けを行いました。
そうしたら尻腐れと虫喰いに続き、ケモノの食害に…もうすぐ完熟する大きいものから次々と餌食になっていきます。
人気の無い樹々の繁みの先から一直線にパプリカを植えてしまった為、夢の獣道(ケモノにとって)ができてしまいました…
今年のパプリカはそんな環境の中で生き延びた「強運のパプリカ」です!
春の今年、種子法の廃止に伴って国産・地産の種が失われる懸念が北信の有機農家の間で強まり、種を守る試みが行われています。
長野市の西山地方にはいまや絶滅寸前という国産種子を生産している種苗会社・山峡採種場があり、山峡さんの協力で野菜の種採りを始める事になりました。
農家になって良かった事、といえばトマトを死ぬほど食べられる事です。
トマトはすごい野菜です。
いくら食べても食べ飽きない不思議な野菜。夢の様な食べ物。
農家になって唯一ブルジョアジーな気分を味わえる野菜の王様。。
…を足で踏みつけます!
踏みつけて果肉を発酵させた後に、種を洗い出します。果肉は全部畑の肥やしに。
これにエクスタシーを感じられたら最高なんですが、残念ですがもったいねー、の気持ちの方が強いです。
そして時間が無い。
トマトに限らず殆どの野菜は採種時期と出荷のピークがまるかぶりするので、生産農家と採種農家は同時というのは難しいです。
山峡採取場が委託している採種農家は現在150農家で、平均年齢は75歳と聞きました。
生産農家の平均は確か65〜70歳くらいだったと思いますので、より厳しい現実があります。
長野市の西山地区はその昔、大豆の栽培が盛んでした。
「西山大豆」はおそらく唯一の地域ブランド農産物です。
地域に根差すものとして大豆も作りたいと思うし、毎年作ってはみるのですが、大豆は商品として出荷する事が無農薬では難しいです。
半分が虫と草にやられてしまいます。
しかし西山の土は豆とその微生物の屍でできていると言っても過言ではありません!(いや、言い過ぎか)
豆の栽培を初めて行う畑には、豆の根粒菌を畑に投入すると聞きます。
豆には豆の相応しい微生物がいるわけです。
この地域では代々豆の遺伝子(微生物)が受け継がれてきたのです。
インゲン豆はおそらく西山に適応する作物です。
なんとなく地味なので、片隅のついで作物にしてしまいますが、毎年「想ってたより美味い⁉︎」と驚きます。。
ぜひ地域のブランド化したい野菜です。