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おらが村にはゴッドファーザーがいます。
ゴッドファーザー(以下略してGF)は個体として存在してるのではなく、菌態として組織化されて存在し、村社会全体に影響力を持ち、GF無くしては村人の生活の安定はありません。
私達農家はトラクター等の農業機械の購入·メンテナンスや、農具の入手、販売ルートの確保等、お世話になります。
GFの銀行もあります。
GF銀行の口座がなければ地元の直売所は、野菜を販売する許可を得られないし、壊れた機械を修理することはできないのです。
その他、ガソリンスタンドや飲食店等様々な業界で私達民間人の生活に関わっているのです。
全くGF様様で大変有り難くもあるのですが、
唯、GFと相容れない部分があるのです。
農園の地域には車で5分のところにGFの野菜を卸す青果場があります。
しかしそこでは有機野菜を扱ってはおりません。
卸すことは可能ですが、その場合は有機野菜としては出荷できません。
「私の野菜はただの粗悪な野菜です。そしてそれを少ししか作れませんが、どうか納めさせてください。」と言って納品しなければなりません。
(直接言葉に出して言わなくても良いが、心の中で呟かねばなりません。)
GFの影響は全国的で、市場は充たされ、有機野菜はずっと闇に葬られてきました。
有機農業はカルトな宗教として、公から排除されている仕組みになっております。(大袈裟ですが)
有機農家は市場がない為、直接販売店と契約したり、個人宅配をすることで細々と生き残ってきました。
現在は野菜セットのインターネット販売も認知されてはきましたが、それでもニッチな市場であることに代わりありません。
狭い市場を奪い合いになり、私のような一人ムノウ農家には厳しい現実があります。
ならば有機野菜を扱う大きい販売店へ単品で卸せばよいのでは?というと、
ズッキーニのような作りやすい野菜ほど、既に先行の有機農家に販路が抑えられているため、そこにも入っていくことが難しいのです。
私は有機野菜を一般の人に広めたいとい思っていたので、殆ど野菜は地元のスーパーや、出荷を終えるのに一時間は掛かる都会への集荷所まで、全て個包装で出荷するという無謀を続けていますが、たまに現実を思うとシンドくなります。
このままではシネます。。
でも
工業化して機械のように自動的に働きたいワケではなく、
理解のある消費者に買ってもらい、閉じられたニーズの中で満足するワケでもなく、
自然の中で健康的に生きられれば満足なワケでもなく、
マイノリティな価値を一般に普及して世の中に広める、というのが自分のやりたい事なのです。
日々混乱し、生きてる意味がわからなくなるけれど、意味はあるのです。
世界の情勢に合わせて、2050年までに有機農地を25%にする、という目標を農水省が掲げました。
有機農業を公儀がお認めになりました。
御上が下した方針ですから、きっと日本は自動的にそうなるのですが、
30年後は私も生き残っておりません。
2050年までの期間は影響力が強いGFの組織がどう形を変えていくか?
分裂するか統合か、の変態をしていく期間になると思います。
GFの存在は日本農業の未来を左右します。
言葉が出ません。
もう寿命かもしれません。
「言霊の神はシンだ」
神はシンでも、身体はまだまだシネません。
私はバカで非力で微力ですが、
魂と身体とお金が燃え尽きるまで、
頑張ります。