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2021-02-16 00:51:00

昨日テレビを見ていると、NHKの番組で調理師が出ていました。一時話題になった一つ星シェフがサイゼリアでバイトして、チームワークの大切さを知ったと言う話です。ネットの方ではまるでステマのようにサイゼリアの料理を褒めまくって信用ならない輩だと思っていましたが、実際映像で本人が思いを語っているところを見ると自分も同じ料理師だなと感じる事もありました。学生時代から勉強は出来ないが手先は器用で、仕事に就くなら職人と思うのは自分も似たような動機です。自分が調理師になった時代は大卒が1人だけで、専門学校出すら嫌味を言われるような環境でした。中卒や高校中退もザラで、狭い世界でマウントを取りあう感じです。あえて厳しい料亭に修業に行きイタリアの三ツ星でも働いていたそうですが、とにかく親方や女性シェフの顔色を伺いながらの仕事だったと。親方やシェフに気に入られるように仕事をしなければならず、黒と言ったら黒の世界が当たり前の時代がありました。その世界しか知らずそのままトップになると、自分も同じような仕事の仕方を下にも求めてしまいます。時代が変わっていることにも気が付かず、周りが呆れてしまうのは今のジェンダー問題と共通しています。何が悪いのか本人自体が理解していなく、そうやって生きて来た時代や環境から抜け出せずにいるなら辞めるしか他ありません。このシェフの偉いのは途中で間違いに気が付いて、自分が変わらなければ誰もついてこないと意識改革が出来た事です。自分の若い時でも威勢の良い人は沢山いましたし、得てしてそういう人から研修にいかせてもらったり、ホテル代表としてコンクールに出たり出来るものでした。リーダーシップを取れる人間でないとシェフなんて無理ですが、そうなると自分はエリートで仕事が出来ると奢り出します。なんせ調理師なんて借りて来る足し算も漢字の書き順も知らないようなのも多いので(笑)、すぐ勘違いしお山の大将を気取り俺が絶対だとイキリ出します。でも自分が知る中ではそんな人間はいずれ淘汰され、結局この世界を辞めている人がほとんどです。業者に偉そうな態度を取ったりして自ら評判を落とし、再就職しようとしても狭い業界で悪い噂が流れている事もあります。昨日出ていた京都の料亭の親方も昔の映像ですが、今ならパワハラ認定を受けるような暴言もありました。それでも飴と鞭があるはずで仕事中は厳しくても、仕事を離れれば優しく接してくれるとか人間力が無いと誰もついてこないと思います。親方にはそれがありシェフには無かったので次々従業員が辞めていく事になったハズで、それでもそこに気が付いて自分が変わろうとした事は素直に凄いと感心しました。自分の料理よりサイゼリアのエスカルゴを褒めちぎっているのは少し違和感はありますが、人間的には素直で裏表のない人なんだろうと思いました。再現Vで塩の置き場所が変わっていたのにキレていましたが、塩の置き場所一つ変わっているだけで怒るのは調理師あるあるです。綺麗好きで神経質なタイプのシェフに多く見られる傾向で、塩の位置はおろか周りもピカピカに綺麗で無いとすぐに怒ります。あまりに塩の位置で怒られるので置き場所にマジックで線を書いて余計怒られている若手がいましたが(笑)、今では笑い話ですが人間追い込まれると何をするか分かりません。時代の変化について行ける人間だけが現役でいられるので、時代遅れを貫きたいなら一線から退く方が良さそうです。最後は人間性が出るのはどんな仕事も同じでしょうし、年齢を重ねる程奢らず威張らず謙虚に生きれたらと思っています。