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2021-03-03 00:32:00

長い事調理師をやっていると色んなレシピと出会いますが、全部が全部使える物でなく中には滅茶苦茶な分量のものもあります。気になるレシピは一度実際に作ってみて、それから改良するなり手の内に入れるなりしています。フレンチのレシピについては頭の中にほぼ入っていますが、仕事なので万が一があってはいけないので必ずノートに書き留めたものを確認しています。逆に家で作る中華や和食のレシピの方が自由度があり、煮物は6(出汁)対1(醤油)対1(みりん)や8対1対1でざっくり作ります。みそ汁は10対1、煮びたしや餡かけは12対1など配合で覚えて後は微調整もあれば、ソムリエ試験のような語呂合わせで覚えてしまうやり方もあります。出汁巻き卵はタマゴの5が肝で、卵3個に対し出汁50㎖と醤油5㎖とか、三杯酢は醤油の3倍のお酢とお酢の倍の出汁で3倍酢と覚えて後は気持ち砂糖で整えます。昔はテレビの料理番組でレシピが出ると、メモ紙と鉛筆を片手に必死で書いたものです。今はビデオで撮っておいたものを一時停止してスマホで画面を撮影すれば良く、疲れはしませんが実際料理をしていると頭に入っているとスピードが全然違います。数値化出来る物はしておいた方が賢明で、毎日湿度や天候を考えて仕込んでいる拘り豆腐店も職人の意気込みは買いますが、たまに豆腐が固まっていないような品質にムラがあるのでは本末転倒です。職人は長年の勘だとか秘伝とか一子相伝とか言いがちですが、職人もこれで良いと判断する基準が必ずあります。表面が汗をかいてきたら余熱で何分とか、照りとツヤが出てきたらここで調味料を入れるとか勘では無い経験則があるはずです。実際自分の仕事も文章に起こすのは手間がかかるので、一目瞭然で見ながら説明出来れば一番分かりやすいとは思います。昨日も子供にスモークサーモンの作り方を聞かれキッチリ教えておきましたが、福井サーモンのような生で美味しいものをわざわざ燻製する意味があるのかは意見の分かれる所だと思います。フルーツのコンポートも日本の美味しいブドウや桃を、日持ちするとは言えシロップ漬けにするのも考え物です。まだコロナが無い2年前に北島亭に行きましたが、お口直しのフルーツは2月にスイカがそのまま一切れ出て来ました。理由はシンプルでそのまま食べた方が美味しいからで、自分もあまり素材をこねくり回さずにメリハリを付けてコース料理を組み立てようと考えさせられ良い経験が出来ました。コロナが収まればまた県外へ食べ歩きなど行きたいものですが、こんな時期をプラスに考え地元の食材を食べ歩くのもアリだと考えています。