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2016-04-13 00:01:00

テレビのグルメ番組を見ているとやれここで秘伝のタレとか、門外不出の企業秘密とか、挙句の果てに一子相伝のレシピなんてまるでマンガの暗殺拳です(笑)。そもそも教えてほしいなんて誰も言ってないのに、テレビでは店主のこだわりを表現する常套句です。実際どこまで正確なレシピがあるのか分かりませんが、多分継ぎ足し継ぎ足しのソースやタレは作っている本人もレシピなんて怪しいもんです。有名チェーン店のカレーやこってりラーメンは、社長と専務しかレシピを知らないとかは分かりますが、街の洋食屋や居酒屋までミリ単位で分量を出しているなんてとても思えません。うちのお客様が気に入った料理の作り方を聞いてこられますが、自分はいつもレシピを紙に書いて渡しています。修行時代に集めたレシピなので貴重と言えば貴重ですが、秘伝とか門外不出みたいな事はありません。ポイントも書いて口頭でも説明しますが、同じレシピでも違う味になるのはそこまで料理は単純では無いからです。ちょっとした火入れのタイミングや煮詰まりかたで違う印象になるのは、チェーン店の中華料理屋やラーメン屋に行っても分かる事です。やっぱり本店が聖地の味やとか、先代の味には叶わないとか、人間の味覚なんてあてになりません。プロのテイスターなどは毎日同じルーチンで動き、同じメニューの昼食を食べ、自己管理を徹底しています。レシピを惜しみなく教えるのも、同じレシピで作っても自分の作る味と同じにならないのは経験上分かっています。もちろんセンスの塊みたいな人はどこの世界にもいるので、一発で決める天才肌みたいな人がいる事も知っています。うちの子供に一子相伝なんてありえないし、道場さんみたいに全部たき火で焼ければ理想ですが、自分にそれが出来るかどうかは調理師を引退する時に考えます。自分の棺桶にレシピを入れてくれれば一石二鳥で、セラーのワインも残らず入れてくれれば気持ちよく燃えそうです(笑)。