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2020-10-10 19:44:00
里山の腐海ともののけ

隣の畑では"アレチ瓜"が広がっています。

アレチ瓜は鋭いトゲがあり、食べることはできないし、触ると軍手越しでも刺さり、雑草の上を覆う様に拡がるため駆除する事も難しい、厄介な植物です。

 

以前、「畑に発生したら種子をこぼさないように全部焼き払うのだ」と地元の方から聞き、ナウシカの世界に出てくる腐海の菌をイメージしました。

 地主さんが高齢により引退し、耕作放棄地となった畑に侵食しています。

 

中山間地域ではこのアレチ瓜が、人の支配の及ばない場所に全面に拡がっている所をチラホラ見かけます。

過疎化によって人の勢力地域は縮小しているのです。

 

 

アレチ瓜の奥には「もののけ」の世界。

 

彼らもまた、田畑の耕作放棄によって境界が無くなり、ジワジワと生息域を拡げています。

今のところ私の畑の被害は少ないですが、山の麓でもよく出没するし、より頂に近い地域で営農する人達の作物の損失は深刻です。

 

日本の"人の領域"は町に住む人には見えないところで、少しずつ、確実に、縮小しています。

ジビエとかハンターを増やすとか言ってますが、全く手に負えるレベルでは無いと聞きます。

人の領域は後退せざるを得ない様に思います。

 

有機農家は昔から、雑草を生やすので村から疎まれ、境界の荒地で細々営む、という人は恐らく多いと思います。

その意味で、人と人外のモノとの"間"に配置される宿命にあると言っても、言い過ぎでは無いかと。

人の殿となり、時にもののけ達と交渉し、贄となって境界を保つ。

そんなアシタカチックな役割を演ずる事が"有機農家のアイデンティティー"となる日が来るのかもしれません。