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2022-04-19 08:00:00

訪問をありがとうございます。

 

昨日書かせていただいた通り、しばらくは、財務審議会の資料をみながら財務省の提言を、現場一個人の立場から検証してみたいと思います。

 

とてもマニアックなため、おそらく読まれる方は少ないと思いますが、『あぁ、加藤はこんな思考回路を持っているんだなぁ』程度に捉えていただけたら幸いです。

 

 

 

 

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出典:令和4年4月13日開催 財務制度分科会資料1 P74

 

 

 

 

そんなわけで、本日はこちらの資料について書きます。

 

本当はこのページの前に『介護保険費用等の推移』というものがあり、そこでは、介護サービス費用が想定外に膨れ上がったことと、その割には医療保険の減少には思うように繋がらなかったことが書かれています。

 

…という前提を踏まえて、『介護サービス提供体制の効率化の向上の必要性』(どうでも良いけど、のが3つも入っていることが気になって仕方ない)についてですが、ここで書かれているのはこんな感じです。

 

 

 

 

“後期を中心に高齢者はこれから増え続けていくけど介護人材は不足の一途を辿っているから、効率化を図っていくしかないよね”

 

 

 

 

えぇ、これは同意です。

 

そして、このページで注目すべきは、右下に小さな小さな字で書かれている囲み部分です(中間整理(抄))。

 

どのように効率化を図るかが書かれているのですが、簡単に書くと次の3点です。

 

◆人的効率化(経験や技術に応じた賃金体系や業務内容の整備、養成課程の見直し、勤務環境の見直し、など)

 

◆予算の効率化(処遇改善の負担、医療・介護の分配のあり方、など)

 

◆費用の透明性向上と業務の効率化(費用使途の見える化、デジタル・ICT技術・ロボット等の活用、など)

 

 どれも読んでいると『フムフム』と思う内容が書かれていますが、私は2つの懸念を持ちました。

 

それは、ICT技術の活用についての部分と、デジタルやロボット等の積極活用に伴う人的効率化の部分です。

 

 

 

 

ICT技術の活用については、昨年度から『LIFE(Long-term care Infomation system For Evidence)』  を始めています。

 

これは、サービス事業所にデータを提出させフィードバックを活用によって、PDCAサイクルの推進とケアの質向上を図ることを目的としており、『科学的介護情報システム』とも呼ばれています。

 

医療ではエビデンス(根拠)に基づきケア計画が立てられますが、介護は明確な根拠はないのが現状です。

 

そのため、LIFEでデータを集めて(IT化)、それを根拠に介護を提供すると同時に、そのデータを多職種とも共有し多職種連携にも活用できるように考えられています。

 

 

 

 

そこで私が気になるのは、『現状、どのくらいの現場職員がLIFEの目的や自分の入力がどのように活用されるかを理解して利用しているのか?』ということと、『これを基にケアマネジャーは利用者の居宅サービス計画書を作成するようになるだろうが、果たしてデータを分析する力を持ったケアマネジャーがどのくらいいるのだろうか?』ということです。

 

つまり、『仕組みは素晴らしいけど、それは果たして現場が使いこなせるか?』という問題です。

 

まぁ、厚労省が『お前ら現場は言われたことだけ入力したり作成すればよいのだ』という分業しか望んでいないのであれば良いのですが、ケアマネジャーは『居宅サービス計画書の説明義務』があるため、『なんか入力したらこんなん出ました~』では済まされないということです。

 

デジタル化に拒否反応を示す方が多いこの業界ではありますが、拒否どころか使いこなした上に分析能力まで求められるようになるわけですが、果たして現在の報酬が求められる能力に見合っているか…(見合っていないどころか、これからさらに減らそうと目論まれています、この辺りは後日書きます)。

 

謎は深まる一方です。

 

 

 

 

続いて、デジタルやロボットの活用による人定効率化について。

 

これは既に人員基準で組み込まれていますが、現状、導入する企業は思うように伸びないと感じています。

 

なぜなら、機器導入についてはコスト面での負荷とそれを職員が使いこなせるための教育という負荷が大きいからです。

 

介護保険事業は、民間企業が経営しているところが大多数です。

 

現状、介護事業は薄利な商売でありながら、それでも時間とコストをかけて導入した方が良いと考えるには、補助金程度ではなく大きなメリットが必要だと感じています。

 

 

 

 

そんなわけで、結論です。

 

今回財務省が提言した効率化についてですが、書かれている内容は概ね同意です。

 

ただし、これから整理検討される項目については、現場のレベルを正しく理解しながら進めていかないと、『なんかわけのわからないすごいビジョン』はできるが、現場が作業(データの入力等)の意味も理解できず活用なんて到底難しい状況に追い込まれると感じています。

 

慎重に慎重を重ねながら、現場の声を丁寧に聴きながら進めてほしいものです。

 

そして、ただでさえ高齢化しつつあるケアマネジャーが、ケアマネジメントのデジタル化により心が折れ、離職に繋がらないことを願うしかできない自分を不甲斐ないなぁと感じるのでした。

 

 

 

 

皆さんは、サービス提供体制の効率化について、どのように感じましたか?