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2016-05-05 07:36:00

訪問をありがとうございます。

 

連休中ではありますが、当社は通常業務です。

 

その為、昨日は子ども達を姉家族にお願いし、遊びに連れて行ってもらいました。

 

そして夜、子ども達を迎えに行った際に姉と話をしている時に、小学校給食の話になりました。

 

姉の子ども達の通う小学校は、給食費滞納者が多いようです。

 

その為、給食のレベルが年々低下しており、春雨などが大活躍。

 

給食費を滞納決している方々は、日々の生活費が緊迫しているわけではなく、外食をしたり洋服などもおしゃれしている。

 

これは、モラルの問題だねぇ〜、と話をしました。

 

 

 

さて、今日は『公正中立』についてツラツラと書きたいと思います。

 

公正中立の実践については、ケアマネジャー自身の職業倫理が基本となりますが、それを実践する上で欠かせないことがあります。

 

それは、『ケアマネジャーの報酬単価が、事業として成り立つ金額でなければならない』ということです。

 

はい、昔から良く言われていることですね。

 

併設の居宅介護支援事業所の場合、企業から『ケアマネジャーは営業職』として期待されるのは当然です。

 

そして、どんなに職業倫理を持っている人も、スポンサーに言われることと、自分のモラル、どちらを優先しますか?と言われたら、スポンサーでしょう。

 

そして、その葛藤に悩む人は、ドロップアウトしてしまうのです。

 

しかし、正しく(というのも変ですが)、居宅介護支援事業所を運営しようと単独型を選択すると、とんでもない苦労が待っているわけで。

 

今回はその辺り、単独居宅介護支援事業所の現状について書きます。

 

細かい数字の話になりますので、興味のある方のみ、お読みください。

 

この数字に対する結論は、次回記載していきますね。

 

 

 

ケアマネジャーの利益は、ざっくり考えて利用者一人につき(要介護度をおしなべて平均すると)12,500円とします。

 

12,500円×35名=437,500円。

 

年間で437,500円×12ヶ月=5,250,000円(総利益)。

 

これに対して人件費ですが、月250,000円の総支給額にすると、社会保障費を込みにして一人当たりの給与は310,000円が必要になります。

 

また、交通費もかかりますが、当社の場合は月額15,000円くらいなので、総額支給は325,000円としましょう。

 

賞与は、株式会社の場合は大体1ヶ月くらいかな?

 

325,000円×14ヶ月(12ヶ月+賞与2回分)=4,550,000円

 

年収3,500,000円にするためには、企業負担は年間で4,550,000の負担になるのです。

 

(5,250,000(総利益)−4,550,000(人件費))÷12ヶ月=約58,000円

 

月額58,000で、家賃を始めとする経費を賄えるかって話です。

 

それ以前に、人件費が86%を超えている事業が成り立ちますか?って話です。

 

(一定年数以上の経験を積んだ専門職職員の年収が、350万円はありえないのですが、まぁ、現実可能な範囲での計算にしたいので、この数字でお許しください)

 

それも、『実利用者数換算』なため、実際は、37〜38名程度のご利用者を担当することとなるでしょう。

 

 

 

さらにです。

 

採用した職員は、初めから35件の担当を担っているわけではありません。

 

一人のケアマネジャーが丁寧にケアマネジメントを行った場合、新規を受け入れることのできるキャパシティーは、月5件だと私は考えています(個人差があります)。

 

入社当初は、地域を知ることが最優先になるため、地域への挨拶回り等を優先すると、やはり月5件程度が妥当です。

 

それを超えると、どこかが雑になる。

 

いや。実際には月8〜10件程度受けるようになるのですが、それは経営者が頑張らなくてはいけない部分であり、雇用した一社員にその負荷をかけることはできません。

 

労働基準法に引っかかりますから。

 

『とりあえずご利用者の要望を聞いて、計画書を作れば良いからさ〜』というならできるでしょうが、それだと公正中立にはなりませんからね。

 

そのため、月5件ずつの増加で35件の担当を担うには、7ヶ月を要するのです。

 

その間にも、利用終了となる方がいるので、実質月6〜7件ずつ受けたとして、です。

 

では、その7ヶ月間、誰が負債を抱えるのでしょうか?

 

会社です。

 

採用した職員が担当を35件MAX担当するまで、会社がその人件費を賄わなくてはならないのです。

 

 

 

数字の話ばかりをしてしまいましたが、これ、事業としてはありえないのです。

 

3人以上で特定事業所加算を取れば、事業は安定すると厚労省は考えていますが、いやいや、甘いです。

 

3人がMAXの件数を担当できるようになるまでに21ヶ月。

 

何よりも、開設間もない単独居宅は知名度も低い為、人材確保も一苦労です。

 

その間(特定事業所加算を取得できるまで)の体力(資金)を確保しておかなければならないわけです。

 

これ、一般の介護職の給与で、家族を抱えている人が貯蓄できると思いますか?

 

 

 

ほ    ぼ    ほ    ぼ    不    可    能    で    す    か    ら    。

 

 

 

そう考えると、独立できる方は限られますし、独立するケアマネジャーが退職時に、自分の担当ご利用者をゴッソリ持って行ってしまうとか、単独になったとはいえ、協力事業所(旨味のある事業所と仲良くなって恩恵を受ける)を持って、ご利用者の紹介先を確保するとか、地域のケアマネジャーを引き抜いて即戦力のある職員を採用してしまうとか、そういうことが起こるのも、わかる気がします。

 

また、制度自体が『走りながら考える』とされているため、先を読む力も必要となります。

 

どんなに高い理念や目標を掲げていても、事業が成り立たなければ、それは夢で終わりますから。

 

専門職としての手腕の他に、経営者としての手腕も求められるわけですね。

 

 

 

求められるものが高度な割には、報酬面での旨味は少ない。

 

それが、単独居宅の現状です。

 

真っ当に事業を行えば、いずれは安定します。

 

それが1年か2年かは、人によるでしょう。

 

何れにしても、それまでの体力やリスクを背負う覚悟がないと、なかなかもって難しいと思います。

 

決して、誰が悪いとか、そういう話ではないのです。

 

現在の報酬体系が、そうせざるを得ない状況を生み出しているのです。

 

 

 

厚労省の方で、『ケアマネジャーは年収500万円の報酬が可能な体制をつくっている』と言った方がおりましたが、詭弁です。

 

負債の回収を含めて、全員のケアマネジャーにその待遇を行うことはできるわけがない。

 

それが、単独居宅の現状だと、私は思います。

 

 

 

というわけで、次回は、公正中立な事業として居宅介護支援事業所が成り立つにはどうしたら良いかを考えていきたいと思います。