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訪問をありがとうございます。
来週は、紡ぐ会で虐待研修を施設に対して行うのですが、その際に取材が入るかもしれないという話を受けました。
私が取材を受けるわけではないでしょうから別に良いのですが、取り合えず取材先に資料のみ送付させていただきました。
現代の大きな課題となっている虐待。
私は社会保障がしっかりと確立すれば、お金のあるなしに関わらず、皆が安心して生活できる社会が築けると考えています。
だからこそ、社会保障を扱う窓口であるケアマネジャーは、給付の適正化、地域を含めた社会資源の有効活用を提案していくことが、何よりも大切だと思っているのです。
あぁ、こんなことを書くと、夫に『内容が重すぎるんだよ』と、ダメ出しを受けてしまいそうです。
話がずれてしまいましたが、私が施設向けに虐待の研修を積極的に行っているのには理由があるのです。
それは、一時的にクローズアップされたニュースをきっかけに、施設に対してのイメージが悪くなり、現場の介護職員が、そのイメージや虐待に対する国の対策に、潰されないでほしいと思うからです。
虐待についての知識も伝えつつ、それ以上に『自分たちが目指すケアを職員間で共有し、その実施に努めた結果、虐待なんてしない施設になった』という考え方を、持ってほしいと思うのです。
介護職は、本当に立派な仕事だと思うのです。
ダメダメで業務を行うより、本来持っている介護に対する想いを引き出し、モチベーションを高めることのできる伝え方をしたいというのが、私の想いです。
・・・なんて書いたら、また『重い』と思われてしまうのでしょうか?
さて、前置きが長くなりましたが、本日は共感能力を高めることについて書きます。
アメリカの精神分析医であるハインツ・コフートは、観察手段として共感に目をつけ『相手の心理状態や主観的世界は、共感によってしか観察できない』と言い、相手の立場に身を置いて、自分がどのような心の体験をするかを想像することの大切さを説きました。
彼は、少なくとも相手の背景情報を知り、相手の立場に立つことで『相手が同じ人間である以上、多少なりとも当たっているはずだ』という主張をしています。
そして、聞き手がその想像を相手に伝えることで当たっているかの確認ができる。
そして、それが当たっていれば、相手は『わかってもらえた』と感じ、気持ちの安定や成長を得ていくことができる、と言っています。
私は、概ね彼の主張には同意ですが、一点だけ感じる部分がありました。
相手の背景情報や相手の立場に立つことは、確かにとても大切だけど、一番大切なことは『相手の価値観を知り、相手になりきって想いを馳せることではないか?』ということです。
本当に生意気なことを言ってしまうと、相手の背景状況を知ろうと、相手の立場に立とうと、『想い』が自分の価値観であれば、相手に共感できる可能性は少ないと思うのです。
なぜなら、自分という価値観で物事を考えても、相手と自分が同じ価値観であるとは限りません。
それを、自分の価値観で考えてしまい、『私は相手に共感できている』と思ってしまうことは危険だと思うわけで。
という、私の勝手な言い分から、共感について書かせていただくと、『相手の価値観を知った上で、起きている事実・相手の心身の状況・環境を加味して、相手になりきって想いを馳せる』ことが、大切だと思います。
そして、相手の価値観を知る方法ですが、これは、ケアマネジャーが一人で行うよりも、他の支援者からの情報も大切です。
様々な支援者から点の情報を集め面にすることで、ご利用者の価値観や状況を、多角的に捉えることができるからです。
私たちも、状況に応じて様々な顔を持っていると思います。
それは、父母だったり、ケアマネジャーだったり、勤め先の一職員だったりetc
置かれている状況によって、自分の顔を使い分けますよね。
それは、ご利用者も同じということです。
そういう様々な『顔』をたくさん知ることが、ご利用者『その人』をより詳しく知ることに繋がり、より正確に共感できるようになると考えています。
だから、他者からの情報は、とても大切で、聞き流してはいけないと思うのです。
多角的に相手の価値観を理解し、置かれている状況・背景・心身の状況・環境を加味して、相手になりきって話を聴き、相手に想いを馳せる。
これが本当の共感になると私は考えています。
そして、これは普段の相談業務で意識し行うことで、そのスキルを高めることができると思います。
そんなことを考え意識しながら、日々、ケアマネジメントの仕事をさせていただいています。
皆さんは普段、どんなことに工夫して共感能力をつけていますか?
ご自身の共感スキルを振り返るきっかけになれば幸いです☆