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2016-01-06 08:00:00

 訪問をありがとうございます。

 

年末年始に介護や医療の記事を読むと同時に、三菱総合研究所の出したケアマネジャーの実態調査を読んでいる間に、様々なことを悶々と考えてしまい、なかなかもって無駄な時間を過ごしている私です。

 

皆さんは、今、何に意識が向いていますか?

 

 

 

と、そんなわけで、今回は少し硬いニュースから入ります。

 

私の中で今までサ高住の存在は、国交省と厚労省の狭間でグレーというイメージがありましたが、国の施策である『一億層活躍社会・緊急対策』により、サ高住はその整備を今後約2万人増加と大きく上乗せしています。

 

更に、サ高住においては『拠点型サ高住』なるものが推奨され、それらを含めた補助金額は、かつてないほどの大盤振る舞いです。

 

(『拠点型サ高住』とは、サ高住に小規模多機能型居宅介護、24時間対応の訪問介護看護、訪問診療、訪問看護を併設させたものを言います)

 

ここから読めることは、今後は介護業界外の一般企業も、介護の進出に向けて動くだろうということです。

 

それ自体は良いことだと思います。

 

 

 

そもそも介護保険が民間の参入を導入した目的には『競争原理を活かして質の向上を図る』ことだからです。

 

特にこれからの高齢者(主に団塊の世代と呼ばれる方々)は、『企業の大きさ=優良な介護を受けられる』とイメージする方も多いことでしょう。

 

これから働くにあたって、国の施策に則ってサ高住で働くことも、先を見据えた一つの手段であると、私は考えています。

 

 

 

ただし、『ケアマネジャーとしての倫理観をしっかり持って働くことができるのであれば』ですが。

 

 

 

当然ですが、一般企業というのは営利を目的としており、今までも様々な企業が参入しては『介護はサービスなんだ』と言いながら、ケアマネジャーに自社の利益を求めるところは多くありました。

 

その勢いが加速するのではないかと、私は危惧しています。

 

 

 

もっとはっきり言ってしまえば、そのような環境でケアマネジャーとしての倫理観を確立していない方が勤務した場合、介護保険の目的である『自立支援』や『継続的な日常生活』の視点が抜け落ちたまま、企業の指示の通りに自社利益追求のプランを作成してしまうことを危惧しています。

 

今でも『ケアマネジャーだって所詮は企業の歯車だし』という、職業倫理よりも自己の保身優先で働くケアマネジャーがいると聞きます。

 

それ、自身のプライドを守るために言っているのかもしれませんが、ただの言い訳ですから。

 

 

 

サービス事業所が利益追求に走ることは良いのです。

 

ただし、『公正中立』を求められるケアマネジャーは、企業の利益追求に走ってはいけないのです。

 

だから、介護給付費の10割が保険料で賄われているのです。

 

ケアマネジャーの走る先は『利用者にとっての利益追求』なのです。

 

 

 

サ高住の増加に伴い、介護給付費も一気にその額を増やしている現状があります。

 

当たり前ですよね。

 

経営者は、介護保険料を満額いただくことをアテにして事業を運営しているのであって、そこで働くケアマネジャーには『いかに限度額いっぱいに介護保険を利用させるか』を求めているのだから。

 

これが加速した場合、介護保険は破綻し、同時に優良なケアマネジャーも多く淘汰されると私は考えています。

 

いや。

 

正確に書くと破綻はしませんが、要介護2以下は地域支援に移行する等、大きな制限をかけられると考えています。

 

そして、優良なケアマネジャーほど国の要望と企業の要望の倫理的葛藤に悩み、ドロップアウトする方が出てくることを危惧しています。

 

これらを防ぐ意味でも、働く先というのはとても大切だと思うのです。

 

 

 

これからも、必要な人が必要な量の介護を受けることができるように。

 

そして、ケアマネジャー自身が誇りを持って仕事に就けるように。

 

介護保険の目的や自立支援の意味を十分に理解して、企業の要望にもきちんと制度や自分たちの役割を説明できるケアマネジャーになることが大切だと、私は思うのです。

 

 

 

介護の現場で人材不足は今後も続くでしょう。

 

ケアマネジャーも引く手数多だと思います。

 

その際に、どんな理由でどこに勤めるかは個々の自由だと思います。

 

ただし、どんな環境で働くにしても、ケアマネジャーの役割の重さを自覚して勤めていただきたいと私は考えています。