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フロレスタンとオイゼビウス
待望のベートーヴェン弦楽四重奏全曲のスコアが届いた。
わくわくしながら、スコアを開き、第4番ハ短調を聴き始めた。
あれれ?
楽しくない。
どうもリハーサルの時の様に、スコアと演奏を照らし合わせて、チェックしている自分がいる。
素晴らしい音楽を鑑賞する姿勢からは、ほど遠い・・・・
職業病かもしれない。
良くないなあ。
その後、外を歩きながら、いつものように、弦楽四重奏曲第5番イ長調を聴くと、ものすごく楽しかった。
う~ん、これはどうしたものか・・・
岩波文庫に、シューマン著(吉田秀和訳)
「音楽と音楽家」という大変重要な本があることを思い出した。
その中に以下のような文章がある。
<ラロー先生、フロレスタン、オイゼビウスの思索と詩作のノートより>
「スコアを読む」
若い音楽学生が、ベートーヴェンの第8交響曲の練習を聴きながら、熱心にスコアと読み合せているのをみて、オイゼビウスが「あれはきっと良い音楽家に違いない!」というと、フロレスタンが「とんでもないことだ!良い音楽家とはスコアがなくとも音楽がわかり、音楽がなくてもスコアのわかる人のことをいうのだ。
耳は眼を、眼は耳を、なしですますようでなくてはいけない」といった。
「大変な注文だね。しかし君の言うとおりだ、フロレスタン」と、ラロー先生が結んだ。
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本日の収穫としては、スコアがあろうがあるまいが、鑑賞と、勉強の両面から音楽を聴けるようにならなくてはいけない、という事だ。
生徒諸君!
京都堀川音楽高等学校第49回オーケストラ定期演奏会が無事終演いたしました。
コロナ感染が再び拡大する中、とても多くのお客様にご来聴いただき、ありがとうございました。
生徒諸君は、ほんとうに良く頑張って、最高の演奏を聴かせてくれました。
まずは生徒諸君に心から感謝いたします。
君たちのオーケストラ、合唱は最高です!
ありがとう!
またかつて生徒だった皆さんに感謝です。
後輩たちを支えつつ素晴らしい演奏をしてくれてありがとう!
そして、エキストラ、学校スタッフの皆さん、PTAの皆さんに感謝です。
大きな演奏会成功にご尽力いただき、ありがとうございました。
偉大な後輩佐渡裕氏に感謝です。
ねぎらいの花束をいただいたこと、僕が堀音の教師になったときから今まで、僕を含め堀音のオーケストラを育ててくれたことに、心から感謝いたします。
最後に僕の好きな宮澤賢治の詩を、生徒諸君に贈ります。
「告別」
おまへのバスの三連音が
どんなぐあひに鳴ってゐたかを
おそらくおまへはわかってゐまい
その純朴さ希みに充ちたたのしさは
ほとんどおれを草葉のやうに顫はせた
もしもおまへがそれらの音の特性や
立派な無数の順列を
はっきり知って自由にいつでも使へるならば
おまへは辛くてそしてかゞやく天の仕事もするだらう
泰西著名の楽人たちが
幼齢弦や鍵器をとって
すでに一家をなしたがやうに
おまへはそのころ
この国にある皮革の鼓器と
竹でつくった管くゎんとをとった
けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで
おまへの素質と力をもってゐるものは
町と村との一万人のなかになら
おそらく五人はあるだらう
それらのひとのどの人もまたどのひとも
五年のあひだにそれを大抵無くすのだ
生活のためにけづられたり
自分でそれをなくすのだ
すべての才や力や材といふものは
ひとにとゞまるものでない
ひとさへひとにとゞまらぬ
云はなかったが、
おれは四月はもう学校に居ないのだ
恐らく暗くけはしいみちをあるくだらう
そのあとでおまへのいまのちからがにぶり
きれいな音の正しい調子とその明るさを失って
ふたたび回復できないならば
おれはおまへをもう見ない
なぜならおれは
すこしぐらゐの仕事ができて
そいつに腰をかけてるやうな
そんな多数をいちばんいやにおもふのだ
もしもおまへが
よくきいてくれ
ひとりのやさしい娘をおもふやうになるそのとき
おまへに無数の影と光の像があらはれる
おまへはそれを音にするのだ
みんなが町で暮したり
一日あそんでゐるときに
おまへはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
多くの侮辱や窮乏の
それらを噛んで歌ふのだ
もしも楽器がなかったら
いゝかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ
ベートーヴェン 交響曲 第5番 ハ短調
人類の歴史の中で
最も素晴らしい音楽が
ベートーヴェンの交響曲第5番だ。
第1楽章第1主題
良く知られたモチーフだが、
今回は8分休符と8分音符が3つ、
そして2分音符、
計5つの音として感じている。
3楽章に出てくる
3連符と4分音符のモチーフとは、
無関係!と言い切る。
作曲者を尊敬し
作品を尊敬し
演奏者を尊敬し
神様に感謝して演奏する。