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2022 / 07 / 28
22:47
フロレスタンとオイゼビウス
待望のベートーヴェン弦楽四重奏全曲のスコアが届いた。
わくわくしながら、スコアを開き、第4番ハ短調を聴き始めた。
あれれ?
楽しくない。
どうもリハーサルの時の様に、スコアと演奏を照らし合わせて、チェックしている自分がいる。
素晴らしい音楽を鑑賞する姿勢からは、ほど遠い・・・・
職業病かもしれない。
良くないなあ。
その後、外を歩きながら、いつものように、弦楽四重奏曲第5番イ長調を聴くと、ものすごく楽しかった。
う~ん、これはどうしたものか・・・
岩波文庫に、シューマン著(吉田秀和訳)
「音楽と音楽家」という大変重要な本があることを思い出した。
その中に以下のような文章がある。
<ラロー先生、フロレスタン、オイゼビウスの思索と詩作のノートより>
「スコアを読む」
若い音楽学生が、ベートーヴェンの第8交響曲の練習を聴きながら、熱心にスコアと読み合せているのをみて、オイゼビウスが「あれはきっと良い音楽家に違いない!」というと、フロレスタンが「とんでもないことだ!良い音楽家とはスコアがなくとも音楽がわかり、音楽がなくてもスコアのわかる人のことをいうのだ。
耳は眼を、眼は耳を、なしですますようでなくてはいけない」といった。
「大変な注文だね。しかし君の言うとおりだ、フロレスタン」と、ラロー先生が結んだ。
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本日の収穫としては、スコアがあろうがあるまいが、鑑賞と、勉強の両面から音楽を聴けるようにならなくてはいけない、という事だ。