洛外日記 diary 2016
<30Dec2016>
龍谷大学交響楽団との一年間が終わった。
オーケストラというクラスの担任だったような気持ちだ。
クラスの生徒がふっと卒業してしまったような、
あの、心にぽっかり穴があいたような、
やるせない気持ちになっている。
一年間という時間が、別れの寂しさを際立たせる。
でも、素敵な学生さんとの素敵な時間だった・・・・
もう、あのメンバー全員とは音楽できないんだなあ。
「今からみんなで演奏旅行にでかけよう!」
打ち上げのあいさつでいったこと。
今は夢だけど、いつか実現したい!
もう一度このメンバーで!
龍谷大学交響楽団のみなさんに感謝です。
学生指揮者のうるさん
インスペクターのちえさん
コンサートミストレスのあやさん
ありがとう!!
<8Dec2016>
京都教育大学管弦楽団の第47回定期演奏会が終わった。
深い和音の底にある、作曲者の気持ちを表現しようと、
妥協せずに、時間をかけて、
僕たちだけのアプローチを試みたブラームス。
すべてのメロディーラインが主役であり、
しかし、異なったキャラクターを表現の濃淡で描きわけ、
ソナタ形式に納めようと試みたシューベルト。
素朴で、人の心に染み入るような表現をしようと心に決めて、
ともすれば大げさなお祭り騒ぎになってしまう曲を、
見事にコントロールし、静かな感動を呼んだシベリウス・・・・
愛しい学生たちと、
優しい先輩が、現役の時のように心をひとつにして、
お手伝いの方々は頭が下がるほどの演奏をしてくださり、
最高の音楽の時を創ってくれた。
本当に、本当に、ありがとうございました!
僕の一番嫌いな言葉
「卒団」
そつだんってなんだよー
なつみちゃん!
あやちゃん!
杉山くん!
ばっしー!
青木くんー!
きょんちゃーん!
いたるさん!
もっといっしょにおんがくしよーよー
いくなよー
なんでこんなにはやくじかんがたつんだ・・・
ただただ寂しい。
寂しい。
毎年、素晴らしい感動のあとにやってくるこの寂しさ。
耐えられない・・・・
もらったTAKEO KIKUCHI のハンカチ
大切に使うね。
すぐ顔みせに帰ってきてね!
<25Oct2016>
京都堀川音楽高校のオーケストラの授業で・・・
京都城巽音楽フェスティバルの練習をしていたのだけれど、
上田楽々さんの歌うアリア「さようなら」の前奏で、
ヴァイオリンのピッツィカートが悲しそうな音にならなくて、
客席におられた、大先輩のヴィオラの西内さんに
「悲しいピッツィカートの弾き方ってありますか?」
と尋ねたら、即座に弾き方を教えてくださった。
オーケストラは一瞬にしてオペラの、別れの場面にふさわしい音楽を奏し始めた。
ああ、これこそ、長年大阪フィルで培ってこられた芸術の伝承なのだ。
こうやって音楽を教わるのだ、と
僕は猛烈に感動した。
西内さん、ありがとうございます。
そして、同時にあちこちで生徒を指導してくださった音楽家のみなさん、
本当にありがとうございます!
<4Oct2016>
けいはんなフィルとの初練習があった。
久しぶりだったけれど、やはり素敵なオーケストラだ。
今回のメインはカリンニコフの交響曲第2番。
初めて指揮する曲だ。
どうも理解できないところがたくさんあって、
最初の練習は不安一杯だったけれど、
少しずつ作曲者の気持ちが分かってきたように思う。
そんな中、
美しいイングリッシュホルンの独奏で始まる第2楽章の、
最後の和音が悲しすぎる・・・と思った。
Fis A Cis
この終わり方によく似た終わり方をする曲を知っている・・・
なんだっけなあ・・・
「カーペンターズの」
「雨の日と日曜日は」と言ってしまったら
「月曜日です!」と言われた。
これかなあ?と思いながら練習終了。
正解は「スーパースター」
団長さんから曲、歌詞の意味と成り立ちを教わった。
切ない歌詞・・・だから最後の和音はC,Es,Gなのかもしれない。
<10Sep2016>
今日は上京中学校の同窓会だった。
まずは上中に集まって記念撮影と校舎の見学。
それからブライトンホテルで楽しい会を持った。
本当に素敵な時間だった・・・
本当に・・・
まだ、気持ちが高まったままで、眠れそうにない。
こんなに素晴らしい会を企画してくれた、
親友、飯聡をはじめとする幹事の皆さんに感謝です。
ありがとうございました!
ともだちってほんとうにいいもんだなあ・・・
2020年、東京オリンピックの年に、
また、会いましょう!
また再びこんな素敵な時間がもてますように、
みんな元気で、笑顔であえますように・・・
<1Sep2016>
京都教育大学管弦楽団は小さなオーケストラだ。
今年も11月の定期演奏会に向けて一緒にがんばる。
夏の合宿には、例年より一日多く参加した。
福井県の花はす温泉「そまやま」に滞在。
ここは最高の宿である。
オーケストラから今年も誕生日のプレゼントを頂いた。
ありがとうございます!
燭台・・・ガラスでできた、蝋燭の炎を楽しむための置物。
火を灯すと、
ちょっと落ち着いてゆっくりいきましょう。
そんなメッセージが聴こえてきそうだ。
ブラームスの第2交響曲
シューベルトの未完成
フィンランディア
じっくりと音楽を熟成させようね。
<15Aug2016>
ベートーヴェンを指揮できる喜び。
第6番を指揮できる喜び。
素晴らしいオーケストラとこの曲を演奏できる喜び。
最高だ!
しかしそんな気持ちとは裏腹に、
練習するたびに、
指揮者としての、
もっと深い作品への探究が必要になってくる。
練習中、オーケストラが突然良い音になる。
それは、僕のせいではなく、
ベートーヴェンが思い描いた音とメンバーの作る音楽が、
同期したということ。
奏者が勝ち取ったものである。
偉大な音楽の前では、
僕自身の、
物見遊山の、
ハイリゲンシュタットの想い出など、
なんの役にも立たない。
スコアの中にすべて描かれているはず、
もっと深く読み取る。
一日24時間、
和み交響楽団と
田園の2楽章と5楽章だけを練習したい。
<24July2016>
京都堀川音楽高等学校第43回オーケストラ定期演奏会が終わった。
誰がなんと言おうと、彼らは最高の音楽を表現した。
クラシック音楽の最高峰として、
美しく輝くような音を紡ぎ出したハイドンのミサ
音楽の裏側に潜む作曲者の思いを、
必死で追求できたショスタコーヴィチのシンフォニー
可憐で自由に歌い上げた花のワルツ・・・・・・
すべてが良かった。
思い残すことはない。
このステージから一人でも多くの音楽家が
世界に羽ばたいていきますように!
<17July2016>
「宵山」が好きだ。
夜の京都の街に、幻想的に浮かび上がる鉾の提灯。
かわいい浴衣を着た女性も素敵だ。
四条通りを避けて、鉾町をジグザグに進む。
こんな祭りの夜もいい。
7月は本番が多かった。
どの本番も、心をこめて
団員さんとともに、一生懸命にとりくめた。
7月のコンサートの余韻は、
今、宵山の喧騒と混ざり合って、
京都の夏の最高の思い出となる。
あと、一つ
京都堀川音楽高等学校のオーケストラ定期
生徒とお客様の心に一生響き続けるような演奏がしたい。
<6Jun2016>
大好きな街神戸は
僕にとって、ひとつの独立国のようだ。
神戸市民交響楽団との時間は、
外国のオケと音楽をつくっている時間と似ていた。
ただ、ただ楽しく
音楽に真剣にうちこみ
繊細で
おおらかなんだ。
この「おおらか」さが
街の異国情緒と重なり合う。
青きドナウ、未完成、惑星を
ひとつひとつ異なったアプローチで丁寧に練習して、
大きな感動をとどけようと頑張った。
あっという間に時間が過ぎて、
京都に帰る時間がくる。
JR神戸駅の改札を入ると、日本に帰国した感じがした。
当日の客席にはいっぱいのお客様、
このお客様から
「神戸市民響だ~いすき」な空気がただよってくる。
この空気感も外国風。
演奏は最高だった。
僕は木星で、練習のときから感動して
ずっと泣いていた・・・本番ではぐしゃぐしゃになった。
初めてこのオーケストラと共演したのが、
第九とバラの騎士組曲・・・そのご何回か共演のチャンスがあったのに、
僕のせいで叶わなかった。
やっと
やっと
ご一緒できて、ほんとうに幸せでした!
神戸市民交響楽団のみなさん、感動の時をいただき、
ありがとうございました!
また、ご一緒できますことを祈りつつ・・・・
<24May2016>
今日は静かな休日。
頭の中では、チャイコフスキーの弦楽セレナーデの
「ワルツ」がずっと鳴っている。
ずっと昔からこの曲が大好きだ。
作曲家が大好きな人のために作った曲って
どれも素敵だけれど、
小さな曲が特にいい。
エルガーの「愛の挨拶」
シューマンの「献呈」
・・・・・今日はたくさん寝て
週末の神戸のコンサートにむけて体調を整える
仕事も勉強もしない
それから
妻と靴を買いに行った。
ニューバランスの黒いウォーキングシューズを買った。
明日からはこれをはいて学校に行く。
僕は妻の父ではないが、
父の日のプレゼントということに。
帰りはスターバックスの
キャラメル・フラペチーノを食べ歩き。
おだやかな一日は終わり。
<18Apr2016>
大阪市民管弦楽団との、素敵な音楽の時間が終わってしまった・・・
ドヴォジャークの7番とブラームスの2番、
アンコールのアンネンポルカとハンガリー舞曲の6番
すべてが「D」の調子
コンマス飯田君のアイディア・・すばらしい!
新たな発見がいっぱいできたね!
この4曲をもって日本中を旅したい。
ザ・シンフォニーホールでの感動を
もっと多くの人に味わってもらいたい。
2つのシンフォニーの持つ音色をくっきりと描き分けて、
お客様に届けようと頑張った。
素敵な練習の時間だったなあ・・・・
いいコンサートだったなあ・・・・
大阪市民管のみなさん
次に会うときにはお互いもっともっと成長していましょう!
そしてまたさらなる音楽の高みを目指して
素敵な音楽の時間をご一緒しましょう!
そして武福に行って楽しい酒を酌み交わしましょう!
<27Mar2016>
イースター、おめでとうございます!
教会に行ってみんなで一緒にお祝いしたかったけれど、
僕はオーケストラのリハーサルに向かいます。
音楽を磨き上げることが、僕なりのお祝いです。
<26Mar2016>
京都堀川音楽高等学校第6回卒業演奏会が終わった。
毎年のこと・・
しかたのないこと・・
おめでたいこと・・なのだが
高校3年生が卒業すると猛烈な寂しさに襲われる。
とてもつらい・・・
今も耳に残る「ローエングリン」第一幕への前奏曲。
透き通るようなヴァイオリンの音で奏されたモチーフが、
優しい木管楽器へ
ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ホルン、ファゴットの深い響きへ
そして輝く金管楽器へとゆっくり歩み
シンバルの音とともに最高潮へと達する。
息が絶えていくように
ヴァイオリンがゆっくりと下降する。
最後の一音まで集中できたね。
ワーグナーを
ローエングリンを
あそこまで演奏できるようになったのに
君たちは卒業していくのか・・・
寂しいけれど
君たちの未来が光り輝くことを
心から祈っている。
<21Mar2016>
交響曲38番について想いを馳せる・・・
この曲の初演された1787年のウィーンで起きたこと。
交響曲38番の初演が1月。
ベートーヴェンがモーツァルトと初めて逢い即興演奏を披露したのが4月。
モーツァルトとベートーヴェンが逢ったとき、
あるいはその時期のウィーンの音楽の流れのなかで、
ふたりの音楽になにか新たなものが生まれたか?
今回この曲を指揮するにあたって、
僕が感じていたのは、
モーツァルトの音楽が彼の生きた時代を飛び越えようとしている、
という感覚。
演奏会が終わった今も1787年を思うとわくわくする。
京都室内管の演奏はしなやかに激しく、
われわれ独自の、
新たなモーツァルトを提示したと感じた。
<20Mar2016>
京都室内管弦楽団の演奏会が無事終了した。
「牧神の午後への前奏曲」は素晴らしい演奏で演奏会の幕開けを飾った。
団員さんひとりひとりの音楽性と演奏技術によるところが大きい。
3つのオーケストラで連続してこの曲を指揮したが、
この曲の指揮に関して求められるものがおぼろげながら見えてきた。
奏者がその持てる力を最大限に発揮できる音空間を作る。
和音、リズム、テンポ、構成をシンプルに正確に示す。
オーケストラのほうからエスプリが香ってくるのを冷静に受け止める。
・・・どの曲でもそうじゃないかと言われそうだが、
違う。
これ以上はもう言葉では言えない。
<9Feb2016>
平野一郎氏作曲「八幡大縁起」の世界初演が大成功に終わった。
スコアを見た時、この曲が素晴らしい音になることは分かっていた。
しかし、前作「八幡縁起」の数倍難しい曲であることも分かっていた。
特に声楽のソリストと合唱にかかる重圧は計り知れないものがあった。
稽古は困難を極めたが、出演者と指導陣、スタッフが一体となって成功への道を歩んでいけた。
これは、作品の魅力・・・作品から放出されるオーラが我々を後押したのだと思う。
本番では人間の力を超越したなにかが降臨し、我々の音楽を導いてくれたと感じた。
僕は、この曲をもって世界を旅したい。
胸をはって「これが日本の最高の曲だ」いえるのだから。
平野さん、ありがとう!
八幡大縁起の初演にかかわったすべてのひとに、ありがとう!
<20Jan2016>
意識して心と体の平安を保たないといけない。
教頭の仕事も多い。
コンサートも多い。
いつも感謝して頑張りたい。
でも、頑張りすぎると限界はある日突然やってくる、数年前のあの日のように。
目の前には、マーラーの6番のスコアがあって・・・ぷつんと何かが切れたような感覚、そして何もできなくなった。
心からも体からも元気がきえた。
そうならないようにしないと。
やっと「藏野さん元気になったね!」と言われるようになったのだから。
<16Jan2016>
今日はセンター試験。生徒の応援に府立医大へ。
そして、月末のやわた市民音楽祭のための勉強。
「八幡大縁起」のスコアからは、曲の持つさまざまな表情、
喜怒哀楽、雄たけび、哄笑、慄き、恐れ、興奮、安らぎ・・などがはっきりと聴こえてくる。
本当に素晴らしい作品・・・・。
ただ、演奏するとなると、歌うとなると、指揮するとなると滅多にお目にかかれないほどの難曲である。
指揮者は二人いてもいいくらい。
明日は独唱の4人が加わり、リハーサルはおそらく困難を極めるだろう。
しかし、力の限り、最高の演奏に向けて頑張るのみ!
そしてもう一つ、プログラム順こそ真ん中に位置するが、
完全なるメインの交響曲、ベートーヴェンの第5番ハ短調がある。
明日はこの曲のリハーサルもあるが十分な時間はない。
いかに効率のよいリハーサルができるか・・・・
八幡大縁起とはまったく違うベートーヴェンの世界を創らなければ意味がない!
<1Jan2016>
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
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今年も賀茂川ルーテル教会の元日礼拝に行くことができた。
懐かしくあたたかい場所へと、京都の町を歩いてゆくのはとても嬉しい。
神﨑牧師の力強い説教・・「思い悩むな」というルカの福音書のみことばに癒された。
感謝です。
教会への道ではBeatles/ABBEY ROADを聴いた。
John LennonのCome Togetherで今年は始まった。