日記
膝蓋モビリゼーション
寒気や冷風で各関節が硬直しがちになるここ最近の季節では、腰の冷えから足全体がむくみ、特に膝のあたりに不純物が蓄積して動きが鈍る、という主訴が多くなったように感じます。
膝後ろにクッションを挟んで足をこぐやり方で、膝の前側の血行を促したり、仰向けでお腹側に膝をゆっくり曲げて行って股関節の曲げ伸ばしを行ったり、という対処方法が世間でよく知られる一般的なやり方だと思います。
これ以外の方法で、膝周りのむくみを取るやり方として、「膝蓋モビリゼーション」というやり方があります。
仰向けで膝を軽く曲げ、膝蓋骨(膝の皿)を5指で軽くつかみ、そっと持ち上げて離す、という動作を20回ほど繰り返します。
更に、ドアノブを回すようなイメージで軽く回転させるように手を動かします。(本当に膝蓋骨を回転させるわけではなく、周辺の筋肉に回転に似た刺激を与える事が目的です。これも軽く20回ほど繰り返します。
これにより膝の前側に蓄積した老廃物などの不純物がはがれて除去しやすくなります。
いずれも身体が痛みを感じない程度に軽くやるのがポイントです。
顔の筋肉の緊張に
寒さや温度変化、或いは気温は暖かくても冷風を浴びすぎても自律神経群が働き過ぎて身体の節々が強張りやすくなります。
目の上や鼻の横など、顔の筋肉もやはり上記の理由で硬直している方が多いです。マスク生活が長い為、表情筋を動かす機会が少ないのも影響しているかもしれません。
顔の緊張をほぐしたり痛みを緩和するのに有効な経穴は、昔から「合谷」を用いると良いとされてきました。
雑誌などメディアに取り上げられる機会も多く、かなり有名な経穴ですが、図解だけでここですよ、と説明されても中々押し方までは書いていないものが多いようです。
人差し指の筋肉と親指の筋肉の合わさる場所が深い谷のように見える事から「合谷」と名付けられていますが、押圧するときはこの筋肉の隙間に、押す側の親指の爪横部分を差し込むように押し込んで、人差し指側に軽く押さえます。
押す側に力は込めずに、深く押し込んで軽く押さえ続けるのがポイントです。
20秒ほど待つと顔の緊張や痛みが多少は緩和するかと思いますので、興味がある方は寒い日などに試してみて下さい。
三国志の登場人物の名前を冠する経脈
三国志に登場する曹操を治療したといわれる医師で「華佗」という人物がいます。曹操の頭部を麻酔を用いて切開治療しようとして処罰されたという伝記が残りますが、主要な武将ではない為あまり知られていないと思います。
人類の歴史上始めて麻酔治療を行ったとされる伝説を持ちますが、何しろ紀元前の話ですので伝記のみに残る話で真偽は不明です。
ただ、面白いものでこの伝説の名医の名前は経穴の名前に残っています。
背部の棘突起の外5分の辺りを、第一胸椎から第5腰椎まで並ぶ経穴群を「華佗夾脊穴」と呼びます。
メインの14経穴に含まれない「奇穴」といわれる経穴に該当します。
一点一点は鍼治療などに用いる経穴ですので通常の整体では用いませんが、この並びに沿って擦法などで皮膚の上から軽い刺激を与えていく事で、猫背によって蓄積した背中の力みを多少なりとも緩めることが出来ます。
たくさんあって覚えるのが大変な経穴ですが、このような興味深い名称をもっているとすぐに覚えられます。
風寒の邪
日本語で風邪をひくという字は風の邪と書きますが、これは本来の東洋医学では6淫の一つである「風邪(ふうじゃ)」を指します。
風に当たる事で体温が奪われ、温度差で筋肉が緊張して様々な不調を生み出す、とされます。また、寒さそのもので同様の症状を起こす「寒邪(かんじゃ)」もその一つです。
寒さや温度差から「筋緊張性頭痛」が引き起こされることが多く、また、腕や脹脛の筋肉が緊張して血行を阻害する事で運動機能が低下したり、こむら返りや冷え性の原因にもなります。更には鳩尾周辺の筋肉が緊張して胃の不調を引き起こしたり、耳の近くが緊張する事で吐き気や眩暈につながる恐れもあります。
対策方法はとにかく首や腰などの中枢をマフラーや腹巻などで防いで冷やさない事、筋肉が重なる奥の方まで緊張する事もあるので、岩盤浴や遠赤外線ストーブなどでゆっくり芯から温める方法をとる事が大事です。
また、二の腕や脹脛は筋肉を動かす事で先端に行った血液を押し戻して循環させる重要な働きがありますので、冷え性を防ぐためにも軽い運動を取り入れる必要があります。
毎日お仕事で疲労している中、更に運動となると中々きついですが、軽くで大丈夫ですので手足を冷やさないための運動を日常生活に取り入れる事をお勧めいたします。
位置が特定できない腰痛
腰の奥の方の何処かが痛む、或いは動きが鈍い感覚がある、にもかかわらずはっきり何処か分からないので対処のしようがない、という主訴の方がたまに見えられます。
場所が特定できないのでどこにどのように施術していいか中々目標が定まりません。
事前に状態をよく聞き、怪我など施術の問題になりそうな要素がないかどうか確認した上でやれる施術として、横向きで足を大きく動かす、というものがあります。
横向きに寝ている状態で、大転子と腸骨の境目辺りの筋肉を、施術者は尺骨の部分で軽く押さえます。
足全体を持ち上げて、先ず前方にゆっくり曲げます。お腹辺りで動きが止まる事が多いですので、無理にそれ以上押さず、10秒ほどそこで停止してから一度最初の地点に戻します。その後、もう一度前方に足を動かすと、さっきよりお腹側に足が上がるようになります。これと同じ動作を、今度は後方背中側にも行います。前方、後方にスムーズに動くようになったら、今度は横方向に動かし、十分に開脚が出来るまで、閉じる⇒開くを繰り返します。膝が股関節に対して真横に開くようになったら、今度はそのままゆっくり頭側へ上げていきます。これも、同じように止まったらそこで停止して、10秒したら最初の位置に戻ってからもう一度上げます。
このようにして前後、横に足が動かせるようになると股関節がどの方向からも解放され、自由に足を動かせるようになります。
これで、股関節のかなり奥まで可動域が増えていますので、押圧では届かなかった箇所もある程度解れているかと思います。