整体で健康を目指す

 健康という言葉をいろいろな媒体で耳にします。
 


健康って何でしょう?どんな状態であれば健康で、健康ではないとはどんな状態でしょうか?

あくまで整体師という視点で見ていきます。


世界保健機関で、一番最初に定義されている文言をみてみますと、


「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。」


とあります。

 整体師が仕事の目的とするべきものが「健康」であることは間違いないかと思います。
「不健康」を目指すわけがないのは勿論ですが、何のためにその業を行うのかを考えた時に、単なるリラクゼーションの一つ、と答える整体師は少ないかと思います。いないとは思いませんし、それが悪いこととも思いませんが、看板に「うちはリラクゼーションしかやりません」と書いているところはまず見かけないですよね?

(リラクゼーションそのものが精神的健康に寄与すると考えていますので、この場合それはそれで正しいと思います)

 「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」を整体師としてどうやって目指せばよいでしょうか?
 

 一つずつ見ていきます。
 

1、身体的に良好な状態


 最初の定義の中で、付け足しの文言に「たんに病気や虚弱ではないことではない」とありますね。病気でも虚弱でもなければ健康でいいじゃないか、と考えてしまいがちですが、ここでは「たんに」という言葉を使っていますので、それだけでは不十分だという意味に解釈しています。では、他に何を足せるのか考えてみますと、それは「予防」なのではないか?と私は考えます。 病気になりにくい状態、虚弱になりにくい状態まで含めて良好な状態とよぶのだ、と考えると整体師の役割が自然に見えてきます。

 

  体の中で、流れが滞っている箇所があれば流れやすくし、硬くなって動きにくいのであれば柔らかくし、過剰にかかっている余分な力を抜き、弱っている箇所があれば補強する。


 病気の治療や、虚弱体質の改善なんかはお医者さんの仕事です。

整体師の仕事は治すことではなく、この「予防」に集約されている、と考えています。
 

 2、精神的に良好な状態


 真っ先に思い浮かんだ言葉は「ストレス」です。現代社会で仕事をしたり、ご近所付き合いをしたりする中で、上司から、あるいはお客さんから、近所の人から様々なストレスを受けます。必ずしも悪いものばかりではなく、ある程度仕事や生活に張りを持たせる意味での「緊張」も、ここではストレスに含みますので、肉体的疲労以外の疲労の原因となるもの、と解釈しています。

では精神的に健康とはどんな状態でしょう?

ストレスが全くかからない状態であれば、それは確かに健康と言えそうです。が、よほど特殊な環境にいない限り難しいと思います。それよりも、ストレスをコントロールできるかどうかが重要と考えます。例えば、休日に買い物や食事でストレス発散をするのもいいですし、温泉に行くのもいいと思います。

では、整体師がここに関わるとしたらどんなやり方があるでしょうか?

私は、「ストレスから来る疲労」を出来る限り察知してそれを取り除くことだと考えています。それには、ストレスに関わる箇所に触れて、その人が今どの程度のストレスを抱えていて、結果どんな疲労があるのか、がわからなければなりません。

どこを見ればいいのかは、ある程度経験が必要なのでここでは省略しますが、ヒントは「感情は顔に出る」という事ですかね。


3、社会的に良好な状態

 

社会的な健康ということは、そのひとが社会的地位を理由に、なんら生活を圧迫されない状態という事だと解釈します。だとすれば直接、生活的な健康に対して整体師が出来ることはありません。そのひとの生活や仕事にまで整体師が手を出すことは物理的にも倫理的にも不可能です。

でも、間接的には可能だと思います。私は整体師に出来るのは、周囲からの見え方を改善することだと考えます。

例えば、姿勢をまっすぐにしただけでも、周りからは自信があるように見えます。顔の血行が良くなり、緊張がほぐれていれば、話しやすそうな人、明るい人、という印象になります。結果少しでも「社会的健康」に貢献できればいい、というのが整体師からみる理想だと思います。

  

整体師、整体院によって健康に関する定義も考え方も様々だと思います。上記は、あくまでも私が整体師として仕事をするうえで、目指すものとして考えている内容です。