痛い技と痛くない技

整体院に行かれたことがある人で、痛すぎる技を受けてその後モミ返しが来た、という人は少なくないかと思います。

当然どの整体院も痛めつけようとして施術するわけはないはずですが、一方でまったく痛みを残さない整体院もあります。

痛みがある方が効いた感じがする、と思いがちの方もおられるでしょう。

確かに、部分的に痛みが伴う技が必要になることもありますので、間違いではありませんが、だからといって必ずしも施術者が力いっぱいやればいいかというと、そんなはずはありません。

まず、どんな時「痛い技」になるか?

 1、筋肉を真上から圧迫したとき

 2、施術を受ける相手の緊張がとれていないとき

 3、施術者が、相手のけがや炎症を見逃したとき

まず、1は施術者の未熟さが原因です。筋肉は押されれば当然反発しますので、強く押せば却って硬直をまねき、痛みが生じます。ただし、逆にこの反発を利用して筋肉を活性化させる、という技もありますので一概に筋肉の上を押すことがすべてダメと言えるものでもありませんが。

3も施術者の未熟が原因です。目で見て、手で触れて感じ取れればいいですが、それだけでは難しい場面も当然ありますので、施術前の相手の状況の聞き取りが何より重要になります。

さて、1と3は施術者が経験を積んで、気を付ければ改善できる話ですが、一番難しいのが2です。

相手の緊張がどこから来るか?

職場や家庭で受けるストレスから来る緊張をそのまま引きずっていることもあるでしょう。家に帰っても仕事モードが抜けきれない人は意外と多く、「気分転換が大事」と言葉で言うのは簡単ですがなかなかそれが難しかったりもします。相手がこの状態の時は、首の後ろや鼻の横の筋肉が硬直していることが多く、ここを無理に押せば激痛が走ります。撫でたり払ったりする技を中心にしてなるべく相手にリラックスしてもらい、様子を見ながらゆっくり強めの施術に移行していくのがベストだと思います。もう一つが施術者に警戒感を抱いているときです。これは、意識的、無意識的に関係なく警戒があれば体は緊張します。結果、どんな小さな力による技でも痛く感じてしまい、最悪施術が成立しなくなるケースもあります。

見た目でわかりづらいので難しいですが、施術者が気を付けられる点はいくつかあります。まず、触れ方がいきなりすぎたり、雑ではないかどうか。言葉遣いや声音に警戒を与えるものがないか。服装や髪形も影響することがありますし、意外と店内にかかっている音楽などが影響するケースもあります。何より、堂々としていない、不安な手つきであれば相手は不安になって警戒します。

以上の点から、不必要な痛みを与えないために整体士が気を付けるべきは

〇筋肉をよけて隙間を狙えているか

〇相手が緊張していないか

〇体に無理な動きを加えていないか

というようなことだと思います。

逆にいえば、お客様の立場で新しい整体院に行ったときに、この辺がうまくできているかどうか、が上手い下手を判断する一つの基準になるかと思います。