最高の手技「撫でる」

当店で施術を行う際、必ず前段階で入れる技があります

それは「撫でる

たったこれだけの単純なものですが、その効果はある意味でどんな整体の技よりも高い、と個人的には思います

実は中国整体では「軽擦」という名前がついたれっきとした技のひとつです

ただ撫でればいい、という訳ではなく、その行為により何を流すのか(血液、老廃物、営気など)、を念頭に強弱や速さを変える必要があります。正確にいうなら「撫で払う」という表現が正しいでしょうか

 

なぜ「撫でる」がそれほど効果があるといわれているのか?

理由は大きく分けると次の二つが挙げられます

 

流れを整える

よく整体やエステへ行くと「リンパを流す」という言葉を耳にします。この言葉を、私は出来るだけ使わないようにしています。何故なら体を流れているのはリンパ液だけではないからです

体の不調の全てを、リンパ管を流れる老廃物に求めるのは間違いではありませんが説明不足です

筋肉が疲労し、血液と酸素が不足すれば硬直します。筋肉の動きが悪くなれば血行が悪くなり、体が重くなったり、痛みがでやすくなります。この症状を「リンパ」だけで説明しきれるでしょうか?

私は「軽擦」には、体の各部位に流れる血液量を調整して、川に例えれば清流のような静かな流れに変える作用がある、と考えています。これにより充分な血液と酸素を得た筋肉は、硬直が解けて元の動きを取り戻す、というような改善効果が期待できます

 

緊張を和らげ、リラックスさせる

最近誰かに撫でてもらったことはありますか?

大人になってからはなかなか他人に撫でてもらう機会など無いので忘れている人が大半だと思いますが、小さい頃、親に頭を撫でて貰って安心した、リラックスした、という経験がある人は多いかと思います

人の掌が皮膚に触れると、脳が反応します

見ず知らずの人がいきなり触れれば、脳が警戒して、皮膚は硬直します。ところが気を許せる知り合いや、整体院などの特殊な環境下であれば、柔らかい圧、安心できる速さの触れ方によって脳が警戒を解くからなのか、皮膚の硬直が軽減したような印象を受けます。この状態になれば他の整体の技も効かせやすくなります

 

おそらく、この原理は手技療法のみならず、機械を使った療法でも同じことが言えると思います。業種に限らず、人に触れる職業の方であれば、まずは挨拶程度に「軽擦」を取り入れてみてはいかがでしょうか?