日記
春先に出やすい症状
徐々に暖かい日も増えてまいりました。
季節もやっと春を実感できるようになってきたかと思います。
東洋医学において春先には生活の中で特に「肝」を気を付けるのが重要、と言われています。
以前、寒暖差の激しい時期には「気」を生みだす「胃」の働きに注意するよう書いたかと思いますが、その「気」を全身に巡らせる機能を持つのが「肝」であるとされています。
春になって暖かくなってきますと、自律神経の内「交感神経」が優位になり、身体中の代謝が活発になります。手足の先まで気・血・津液(体内の運化の役割を持つ水分)を巡らせるために肝の働きが多くなります。
春先は私生活や仕事でも変化が起こりやすく、環境に対応する為のストレスから肝に負担がかかりやすい時期です。
肝が疲労しますと、巡らせる力が弱りますので、手足に不純物が残り、浮腫みやすくなります。また、頭部に不純物が残ると目がかすんだり頭がボーっとしやすくなります。春先に強い眠気が襲ってきたり、または逆に頭が冴えて眠りにつけなかったりするのも肝が弱り、自律神経の調整が乱れる事と関係があります。
この時期は肝の働きを助けるために、代謝を促す程度の軽い運動と、ストレスを軽減するためのリラックスできる行動を心がけて下さい。
また、酸味のある食べ物が肝の働きに良いとされているようです。疲れた時に梅干しを食べたくなるのと同じ原理かもしれません。
春は活動的な気持ちになれる良い時期でもありますので、身体の疲労感とバランスよく付き合いながら、健康に気を付けてお過ごしください。
自律神経とよく使われますが
健康番組などでは良く自律神経という言葉が使われます。
自律神経とは、単体の神経ではなく身体を自動で動かして調整する神経の総称との事。
大きく二つに分けて、身体の活動する機能を担当する交感神経と、身体の休息する機能を担当する副交感神経に分かれるとされます。
例えば末梢神経に分類される三叉神経などは体外の情報を感知するためのセンサーであり、自律神経はそこからの情報を元に働くとされます。
詳しくは現代医療の分野になるので、整体師は専門外ですが、東洋医学の経絡の考え方と一部一致しており、整体の手技に応用することが出来ます。
身体の全面に頭頂部から骨盤の前までまっすぐ走る経絡を「仁脈」、背面を背骨に沿ってまっすぐ走る経絡を「督脈」といいますが、督脈の位置と副交感神経の走る位置はぴったり一致しているとの事です。
経絡の考え方を元に、解剖学上存在する電線のような器官に名称を与えてより細分化したものが「神経」という説を読んだことがありますが、位置が一致するという事は何らかの関係があったのではと思います。
督脈に沿った筋肉の硬直を柔らかく緩める事で、身体の緊張が取れ、リラックスした状態になる事は日々の施術で体験している事です。リラックスはしますが、緩めすぎると却って怠さが来て活動する元気が削がれる事が多い、というところも「副交感神経」の役割とそっくりです。
ただ漠然と硬直しているところを解すのではなく、何故そこが緊張するに至ったのか、どうしたら緊張がほぐれるのか、と考えた時にこの自律神経と経絡の関係が思わぬヒントになる事もあるかと思います。
ヘパーデン結節を訴える方が多く見えられます。
最近、指の関節が硬くなって変形してしまう「ヘパーデン結節」と診断された、とおっしゃる方が増えているように見受けられます。
調べましたが、現在明確な原因は分かっておらず、冷却して安静にする保存療法を勧められる方が多いとの事です。
関節が固まりすぎて骨のようになってしまっている場合は、整体では無理には動かせませんが、この症状を訴える方に共通するのは手の平の凝りが非常に強いという事です。
肩が凝ったと言う方は多いですが、手の平が凝ったと言う声はあまり聞きません。身体の中枢に近いところほど凝りや張りなどの変化を強く感じ取れますが、中枢から遠い手の平となりますと変化を感じ取る力が弱いのかもしれません。
但し、よくよく考えれば身体の中で一番活動しているのは手ですので、疲れないわけがありません。手の平や手首に蓄積した疲労が何らかの原因になっている可能性もあるのではないかと考えます。
肘を机の上につき、手の平を上に向けてパーの状態を作り、その上から軽く反対の手でトントンとリズミカルに叩いてみて下さい。
振動が伝わった部分の力みが少しずつ抜けていくかと思います。また、各指を持って軽くフワフワと振ってみる事で、指に溜まった浮腫みを散らすことが出来ます。上記のような対策で、手に残る「力み」を毎日減らすようにしていけば、ヘパーデン結節の予防になるのではないかと考えます。
元気が出ない、気虚に注意
やる気が出ない、休んでも疲れが抜けない、胃腸の働きがイマイチ、手足が冷える、体温がなかなか上がらない、年に何度も風邪をひく
気温差、気圧差でこの時期発生しやすい上記の状態を東洋医学上は気虚と呼んでいます。気=エネルギー、虚=不足 なので読んでそのままの意味です。
気はどこから発生するかというと「胃」であると考えられています。胃が働きやすいようにするためには、姿勢に気を付けて身体を九の字に曲げて圧迫し続けない、寒気が当たる事に気を付けて冷やさないようにする、なるべく冷たいものを控える、食べ物を長時間煮たり細かく切るなどして消化しやすくする、などの対策が有効とされます。気は下方から上方へ上るとされていますので、下半身をなるべく冷やさない事も大事です。
乾燥にも同時に対応しなければならないので、脂ものや水分摂取も多少は必要ですが、過度に採りすぎると中和や除去に余計に「気」を使いますので量に注意してください。
身体を病気から守る衛気(えき)=免疫 も気から作り出されると考えられていますので、この時期気虚の対策をするために胃の養生をすることは病気の予防にも繋がります。
経絡において「胃」は肋骨内側の腹直筋と腰方形筋の境目辺りから股関節直上辺りまで、膝下の足三里から足の甲を通って中指内側までと広範囲に渡ります。正確に一点一点押さえるよりも、大まかに1~2センチ間隔で軽く押さえながらお腹側から足まで移動していき、仕上げに軽くサッと数回押さえていた個所を撫で払うと気血の流れを促せます。
あまり使わない変わった技
清流堂で使う技術のベースは中国整体の一派であります推拿という流派の技です。
これをベースに大正時代の姿勢矯正健康法などを取り入れてアレンジして日々の施術に生かしています。
日々施術していると、使いやすい瀉法の技術を使うことが多くなっていますが、元の教科書には他にもあまり使っていない変わった技もあります。
例えば「発法」。簡単にいうと軽いデコピンです。これをリズミカルに軽く頭部に行う事で、頭部の硬直を取って頭痛改善に役立てる、という趣旨の技ですが、なんとも使うタイミングの難しい技です。
他には「一指蠕推法」などもあります。指で軽く押圧するまでは一見指圧技に見えますが、そのまま押さずに軽い振動を入れます。
硬直が強い箇所をピンポイントに振動をかけて解すという趣旨の技ですが、大変地味であり、これも使いどころの難しい技です。
いつか使う場面もあるかもしれないので一通り覚えてはいますが、未だに使いこなせていない技が実はいくつもあります。
少しずつ練習して引き出しを多く持っておくことで役立つ場面もあるかもしれないので知っておくことは大事だと考えます。