日記

2022-10-09 10:41:32

ファシア(fascia)

ファシア(fascia)は割と最近出てきた言葉なので、直接の日本語訳はありませんが、簡単にいうと筋肉と筋肉を結んで、互いの位置関係を保つ組織、といった説明がされています。

コラーゲンやエラスチンで構成されている組織との事ですので、よく膝の痛みの時に減少が問題といわれる軟骨組織と同じ物質で作られている事が分かります。

上の説明だけ見ると、東洋医学上の言葉で「三焦」というものの定義とよく似ていますが、まだ研究途中の内容との事ですので一致するものなのかはわかりません。

 

これが筋肉組織の表面に現れている部分を指して、そこだけを「筋膜」として取り上げている雑誌などを見かけますが、筋肉を繋ぐ組織であるファシアを剥がす?という表現が使われており、意味がよくわかりません。

 

性質は冷えると固まり、温めると軟化する、という点と、じっとしていると固まりやすく、動いていると軟化しやすい、というところから、従来「リンパ腺の中を通る老廃物」と考えられていたものと性質が似ているようです。首の左右付け根に出来やすいとされる「唾石」も似たような性質があるとされます。

 

まだ研究中の分野との事なので今後の進展を待ちたいですが、普段何気なくやっている整体の技も、「いらない不純物を軟化させて流れやすくする」という部分と「必要な組織を軟化させて働きやすくする」という部分を分けて、もっと明確に認識できるよう学んでいきたいと考えます。

 

2022-10-07 22:52:30

腸脛靭帯

スポーツをやる方であれば必ず一度は耳にするのが「腸脛靭帯」という言葉です。

 

腿の横側に張っている人体最大の靭帯であり、腰と膝の位置を安定させるために働く非常に重要な組織です。

靭帯は、腱と同じように血液のあまり通らない革のベルトのような構造をしています。

腸脛靭帯は、上半身の重さを受け止めて体重移動の作用をするために非常に頑丈に出来ていますが、反面材質的に血液が通りにくいという事は、ダメージが蓄積すると損傷しやすく、回復しにくいのも特徴です。

 

膝周辺においてはこの靭帯と骨格を繋ぐ細かな筋肉組織が膝を支えて密集していますが、スポーツなどで膝から腸脛靭帯までの負担が大きくなりますとこの筋肉群がより密集し、腸脛靭帯を引っ張ってしまい、指で押せないぐらいガチガチに硬くなります。

この時、膝周辺の筋肉群が炎症を起こすことがあり、「ランナー膝」、あるいは「腸脛靭帯炎」と呼ばれています。

 

この過度に引っ張られた状態は腰に繋がり、腰痛の原因の一つにもなりえますので、腿の横が硬いなと感じましたら出来るだけ早めに柔軟化したいところです。

ところが、先に書きました通り靭帯は皮のベルトのような硬い材質であり、押圧などの手技は殆ど受け付けません。

腿の横には神経組織も多く、強い刺激を与えると激痛が走ってかえって硬直を増してしまいますので、手の力は出来るだけ抜いて手の平を軽く当て、温めるようなイメージでそのまましばらく待つ、というのが腸脛靭帯を解す最適な方法だと考えます。しばらく手を当てたままにすることで靭帯そのものではなく、それを支える周りの筋組織が緩んでいきますので、結果として靭帯の硬直が緩みます。

 

膝や腰の痛みが気になるときに、もしかするとこの「腸脛靭帯」が原因になっているケースがあるかもしれませんので、試してみて下さい。

2022-10-04 23:35:05

足首の重要性

 腰痛や膝の痛みなど、下半身に関する主訴が多い方の殆どに見られる共通する特徴が足首が硬い事にあると日頃感じます。

 これだけの細い箇所で全身の重さを受け止めて、柔軟に方向を変えて体重移動の起点となっている部分ですから、ここが硬直しますと地面からの衝撃をそのまま身体に伝えてしまいます。

 結果、膝や腰にダメージとして蓄積し、痛みが発生する原因となるケースが多いように見受けられます。

 

 足首外側、腓骨の下端と踵骨を結ぶ踵腓靭帯、腓骨と距骨を結ぶ前距腓靭帯、腓骨と脛骨の間を結ぶ前脛腓靭帯など、踵と足首を構成する骨の間にはテープのように細かい靭帯が張り巡らされています。足首の内側にも脛骨と距骨を結ぶ三角靭帯が同じように骨の間を結んでいます。

 また、脛骨下端の真下には太陰脾経の重要な経穴である「商丘」、腓骨下端の後ろ側に太陽膀胱経の「崑崙」下側に「申脈」などこれも重要な経穴が配置されています。

 足首の硬直が気になる人は、これらの靭帯や経穴を緩めていくのが重要ですが、ポイントは分かってもどう対処していいかは中々わかりません。

 

 人差し指と親指で足の甲の側から大まかにこの経穴の辺りを軽くつかみ、手の熱で周辺の硬直を溶かすようなイメージで力を加えずにそのままじっと押さえます。ゆっくり足首を動かしてみて引っ掛かりが無くスムーズに動くようになっていれば上記の組織が緩んだ状態です。

 正確には靭帯は皮のベルトのような材質ですのでこれそのものが緩むわけではなく、周囲の筋肉組織が緩んでいるのですが、足首の可動がスムーズになりますと、膝や腰へのダメージが大幅に減りますので、痛みの発生を防ぐことが出来るかと思います。

2022-10-02 20:34:33

膝の痛み

当院に見えられる方の主訴で膝の痛みを訴える方はとても多いです。

 

膝の皿の裏側には前十字靭帯、後十字靭帯という上体からかかる重さを制御する為の非常に重要な仕組みがありますが、そこを保護するために上から膝蓋骨(いわゆる膝の皿)で覆われています。

この膝蓋骨裏側のわずかな隙間には疲労物質などの老廃物が溜まりやすい他、中腰などの前傾姿勢が続いて過剰な負担がかかる場合には体液が溜まって膝にかかる負荷を減らす仕組みが働いたりします。(いわゆる水が溜まる状態)

 

膝の痛みはこの過剰に溜まった不純物が起こしていると思われがちですが、そもそもそれ以前にそれだけの痛みが出るほど負荷が大きかったから蓄積した不純物です。単純に外部から抜けばいいというものでは無いと思います。

 

膝の裏にクッションなどを挟み、井戸の取っ手を動かすようなイメージで足を上下に動かしますと、てこの原理で膝の前側の隙間を軽く開くことが出来ますので、蓄積している不純物を血流で流し、軽い状態にすることが出来ます。

厳密にはかかとなどの硬直も痛みの原因の一つですので、これですべてが解決するわけではありませんが、上記の動作をやる事で自力で多少の痛みの軽減をすることが出来るかと思います。

 

筋肉が硬直して炎症するような鋭い痛みがあるときは、このような大きな動作をしない方が良いこともありますので、疲労感をともなう鈍痛のような軽い痛みの症状の時に試してみて下さい。

2022-10-01 17:07:40

骨盤矯正とは?

 骨盤矯正を看板に掲げる整体院は多いと思います。

 当院は「姿勢矯正」という言葉を掲げていますが、目指すところは似て非なるものだと考えます。

 

 良くテレビや美容雑誌などで「骨盤が開く」、或いは「骨盤を締める」という文言が出てきます。

 仙腸関節という背面仙骨周りの関節部分で、ほんのわずかに稼働はしますが、それは数ミリ程度です。背後に足を蹴り上げたりする動作をしやすくするにはこの仙腸関節の可動域は重要ではありますが、上記の骨盤が開くという文言には左程大きなかかわりが無いように感じます。

 

 「骨盤が開くから外見上太く見えるのでこれを締めなければならない」といった趣旨で記載されている文言は、個人的にですが虚偽だと思っています。

 骨盤前側は恥骨結合という軟骨組織で閉じられており、これが物理的に開くのは出産のときだけです。だから、産後にこの軟骨組織の再生を助けるために布で骨盤を締める、という動作をすることは理にかなっています。

 昭和初期の姿勢療法の本でもこの「骨盤が開く」という文言を使用していますが、これは物理的に開く、というよりも前傾して角度が付いた時に骨盤の最も広く見える部分が前面に向くからこのように表現している、と解釈しています。

 

 前傾姿勢が続くことで骨盤前の腸腰筋(大腰筋と腸骨筋の境目)が左右アンバランスに硬直するので、この為に「骨盤が前方や左右に歪む」。或いは、長時間座り姿勢が続いた為に足を引いてつま先を立てている時間が長くなり、脛の筋肉が硬直する事で歩くときに外側重心になり、大腿骨の上部にある「大転子」が外側に張り出して見える事が「骨盤が開いている」ように見える、という事を表現しているのかもしれません。

 

 いずれにしろ、骨盤は確かに身体の中心であり、身体を立てるのに重要な物ではありますが、そこを歪ませる原因である「姿勢」をいかに矯正するか、という事の方が重要であると考えます。